monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

水馴木(みなれぎ)・磯馴木(そなれぎ)

2021年06月30日 | 日本古典文学-草樹

みなれ木のみなれそなれてはなれなば、恋しからんや恋しからじや
(「湖月抄」の源氏物語・葵の頭注より)

(ひやくしゆのうたたてまつりけるとき、こひのこころをよめる) 待賢門院のあき 
そなれ木の/そなれそなれて/むす苔の(イふす苔の)/まほならすとも/あひみてしかな
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

なみかくる-きしのひたひの-そなれきの-そなれていもと-ぬるよしもかな 
(六条修理大夫集~日文研HPより)

よとともに-なみこすいその-そなれきの-しつえやこひの-ころもなるらむ 
(六条修理大夫集~日文研HPより)

たにかくれ-やましたみつの-うちしのひ-こひにくちなむ-みなれきそうき 
(久安百首-郁芳門院安芸~日文研HPより)

 年わかき男のわれにまさりたる人の女をおもひかけてかゝる人ありとしらせんさやうにいへつへき事とせめしかははなれぬ人ときゝて
みなれきにしほやくあまのほとよりは煙の高き物を社こそ思へ
(相模集~群書類従15)

寄木恋
言の葉の色を見せてもみなれ木のめつらしけなき中やいとはん
(草根集~日文研HPより)


流れ木

2021年06月28日 | 日本古典文学-草樹

(ある所にて五月雨の歌十五首よみ侍りし人にかはりて)
河わだのよどみにとまる流木のうきはしわたす五月雨のころ
(山家和歌集~バージニア大学HPより)

さみたれは-みつまさるらし-なかれきの-もりのしたくさ-なみこゆるまて
(為家五社百首~日文研HPより)

みやまかは-こなたかなたの-おちあひの-みなわかくれに-めくるなかれき 
(新撰和歌六帖-光俊~日文研HPより)

寄木恋 隆祐 
たのめとやぬれてくち行くなかれ木の逢瀬にかかるおもひ有りける
(宝治百首~日文研HPより)

(たいしらす ) 従三位氏久 
名取河/あふせによとむ/なかれ木の/よるかたしらて/ぬるゝ袖哉 
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

なにはかた-しほひしほみち-なかれきの-うきてはしつむ-みこそつられけ 知家
わたつみの-そこのなかれき-いたつらに-からきおもひに-しつみはてつつ 為家
(夫木和歌抄~日文研HPより)

渓古橋
いつの世の谷の川原のなかれ木か水なき橋と人わたすらん
(草根集~日文研HPより)


浮き木

2021年06月26日 | 日本古典文学-草樹

(ある所にて五月雨の歌十五首よみ侍りし人にかはりて)
五月雨は行くべき道のあてもなしをざさが原もうきぎ流れて
(山家和歌集~バージニア大学HPより)

渓五月雨 実氏 
五月雨にたえやしぬらん音羽川うき木つたひの谷の通路
(宝治百首~日文研HPより)

(なつのうたとて) 権中納言公雄 
五月雨に/うき木なかれて/大井河/くたす筏の/数そゝひぬる 
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

むかしおもふ袖にをりける橘やなみたの川の浮木なるらん
(百首歌合_建長八年九月十三日~日文研HPより)

あすかかは-うききにつもる-あはゆきの-なみたちくれは-たのもしけなし 
(堀河百首-俊頼~日文研HPより)


浮草・萍(うきくさ)

2021年06月24日 | 日本古典文学-草樹

(たいしらす) たゝみね 
たきつせに/ねさしとゝめぬ/浮草の/うきたる恋も/我はする哉 
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

こもりえに-ひまなくうける-うきくさの-まなくそひとは-こひしかりける 
(古今和歌六帖~日文研HPより)

 文屋のやすひでが三河の掾(ぞう)になりて、「あがたみにはえいでたゝじや」と、いひやれりける返事によめる 小野小町
わびぬれば身をうき草の根を絶えて誘(さそ)ふ水あらばいなんとぞ思ふ
(古今和歌集~岩波文庫)

(たいしらす) 源盛実 
待わひぬ/身をうき草の/うきなから/逢瀬にさそふ/水の便を 
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

みつのうへに-よるへさためぬ-うきくさの-よそへられぬる-わかみなりけり 
(永久百首-仲実~日文研HPより)

人にわすられて侍ける時 (読人不知) 
かすならぬ/身はうき草と/なりなゝん/つれなき人に/よるへしられし 
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

宝治百首歌めしけるついてに、寄草恋 後嵯峨院御製 
恋わひて/身をうき草と/思へとも/ねは絶すこそ/猶なかれけれ 
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

宝治二年百首歌に、寄草恋 正三位知家 
さのみやは/うきに年へん/浮草の/ねも見ぬ人を/思ひ絶なて 
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

(たいしらす) 大中臣能宣朝臣 
あしかもの/羽風になひく/うき草の/定なき世を/誰か頼ん 
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

春の色のたな引空を知かほにやかてなみよる池の萍
(百詠和歌~続群書類従15上)

(はなのうたのなかに) 前参議為実 
散花は/うき草なから/かたよりて/池のみさひに/かはつ鳴なり 
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

春田蛙
小山田やまかする水の萍にかくれあらはれかはつなくなり
(草根集~日文研HPより)

長久二年弘徽殿女御家歌合にかはつをよめる 良暹法師 
みかくれて/すたく蛙の/もろ声に/さはきそわたる/井手のうき草 
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

 蘋随旅客遊。 萍は南北になかれ行事。旅人の浮かことしと云へり。
誰もかく春の波路にうき草やさそふ水あらはあくかれぬへし
(百詠和歌~続群書類従15上)

はるのよの-ゆめのうきくさ-ゐそたゆる-うきよをさそふ-みつのなみたに 
(壬二集~日文研HPより)

寄萍恋
人はしれ身をうき草にかへつつも柳の花のなひく心を
(草根集~日文研HPより)

さみたれの-そらのみなつは-くもるかは-つきをなかめし-いけのうきくさ 
(千五百番歌合~日文研HPより)

うきくさを-くもとやいとふ-なつのいけの-そこなるうをも-つきをなかめは 
(頼政集~日文研HPより)

ともたちの久しうまうてこさりけるもとに、よみてつかはしける みつね
水の面に/おふるさ月の/浮草の/うきことあれや/ねをたえてこぬ
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

亭子院歌合に よみ人しらす 
夏の池に/よるへさためぬ/浮草の/水より外に/ゆくかたもなし 
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

江上蛍火
すたきゐる萍なからみさひ江にさそふ水あれは行く蛍かな
(草根集~日文研HPより)

庭の夏草茂り合ひ、青柳糸を亂りつゝ、池の浮草浪に漂ひ、錦をさらすかとあやまたる。
(平家物語~バージニア大学HPより)

かせをいたみ-たたよふいけの-うきくさも-さそふみつなく-つららゐにけり 
(秋篠月清集~日文研HPより)

百首歌奉し時、池氷 後鳥羽院下野 
いとゝ又/さそはぬ水に/ねをとめて/氷にとつる/池のうき草 
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)


沢瀉(おもだか)

2021年06月20日 | 日本古典文学-草樹

題しらす 前中納言定家 
おもたかや下葉にましるかきつはた花ふみ分てあさる白鷺 
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

蛙なく田中のゐどに日はくれておもだかなびく風わたるなり 寂蓮法師
(夫木和歌抄~「校註国歌大系21」)

夕顔
里つつく水の入江のおもたかもさく色しろき夕かほの花
(草根集~日文研HPより)

江雨鷺飛
むら雨のふる江をよそに飛ふさきの跡まて白きおもたかの花
(草根集~日文研HPより)

沢瀉は、名のをかしきなり。「心あがりしたらむ」と思ふに。
(枕草子~新潮日本古典集成)