ほのかなるかけとはみえすゆふつくようのはなかきのたそかれのやと
(嘉元百首~日文研HPより)
かすならぬみのうのはなのさきみたれものをそおもふなつのゆふくれ
(順集~日文研HPより)
(後鳥羽院御集~日文研HPより)
(新撰和歌六帖
(拾遺愚草員外~日文研HPより)
(夫木抄~日文研HPより)
(秋篠月清集~日文研HPより)
堀河院に百首歌奉りける時 権大納言師頼
草ふかみあさちましりの沼水に蛍とひかふ夏の夕暮
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
夏歌の中に 参議雅経
露まかふ日影になひく浅ちふのをのつから吹夏の夕かせ
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
夏歌の中に 民部卿為世
入日さす峰のこすゑに鳴蝉の声をのこしてくるゝ山もと
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
昼の御座にうち臥したまひて、御物語など聞こえたまふほどに暮れにけり。すこし大殿籠もり入りにけるに、ひぐらしのはなやかに鳴くにおどろきたまひて、
「さらば、道たどたどしからぬほどに」
とて、御衣などたてまつり直す。
「月待ちて、とも言ふなるものを」
と、いと若やかなるさましてのたまふは、憎からずかし。「その間にも、とや思す」と、心苦しげに思して、立ち止まりたまふ。
「夕露に袖濡らせとやひぐらしの鳴くを聞く聞く起きて行くらむ」
片なりなる御心にまかせて言ひ出でたまへるもらうたければ、ついゐて、
「あな、苦しや」
と、うち嘆きたまふ。
「待つ里もいかが聞くらむ方がたに心騒がすひぐらしの声」
(源氏物語・若菜下~バージニア大学HPより)