「平家花ぞろへ」より、平忠度を植物にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」横山重・松本隆信編、角川書店、1984年)
平忠度は、平忠盛の六男。忠盛の長男である清盛の弟にあたります。忠度は歌人としても名を知られており、「行きくれて木(こ)の下かげを宿とせば花やこよひのあるじならまし」の歌は有名です。
これこそ、当時、やさしくよしありて聞こゆる人なれ。見様(みざま)もたをやかに気色(けしき)あるさまにて、優(いう)によくおはする。
難波の浦の秋の暮れ、藻塩のけぶり立ちそひてきりわたれる水際(みぎは)の蘆、うちなびくけしきとや。
難波潟あしのかりねのひとよにも心にとまるふしはあるらし