monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

平忠度を植物にたとえると

2012年09月29日 | 日本古典文学

 「平家花ぞろへ」より、平忠度を植物にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」横山重・松本隆信編、角川書店、1984年)
 平忠度は、平忠盛の六男。忠盛の長男である清盛の弟にあたります。忠度は歌人としても名を知られており、「行きくれて木(こ)の下かげを宿とせば花やこよひのあるじならまし」の歌は有名です。

 これこそ、当時、やさしくよしありて聞こゆる人なれ。見様(みざま)もたをやかに気色(けしき)あるさまにて、優(いう)によくおはする。
 難波の浦の秋の暮れ、藻塩のけぶり立ちそひてきりわたれる水際(みぎは)の蘆、うちなびくけしきとや。
  難波潟あしのかりねのひとよにも心にとまるふしはあるらし


秋の海辺

2012年09月28日 | 日本古典文学-和歌-秋

草も木も色かはれどもわたつ海の波の花にぞ秋なかりける(古今和歌集)

住の江の松を秋風ふくからに声うちそふる沖つしら波(拾遺和歌集)

このころの浦ふく風のそなれ松かはらぬ色も秋は見えけり(玉葉和歌集)

難波がた磯辺の浪の音すみて夕霧よする秋の潮風(新続古今和歌集)

難波潟うらさびしきは秋霧のたえまに見ゆるあまの釣舟(風雅和歌集)


秋の恋

2012年09月24日 | 日本古典文学-和歌-秋

秋風に音(おと)はすれども花薄ほのかにだにも見えぬ君かな(新後拾遺和歌集)

秋の雨に濡れつつ居ればいやしけど我妹が宿し思ほゆるかも(万葉集)

宮木野のもとあらのこ萩つゆをおもみ風を待つごときみをこそ待て (古今和歌集)

秋萩の枝もとををに置く露の消なば消ぬとも色に出でめやも(万葉集)

秋づけば尾花が上に置く露の消ぬべくも我は思ほゆるかも(万葉集)

秋山に朝立つ霧の峰こめてはれずも物をおもふころかな(続千載和歌集)

わが恋のなかめを見せむあかしがたこぎゆく船にあきのあさ霧(仙洞句題五十首)

君こふる涙は秋にかよへばや空もたもとも共にしぐるる(玉葉和歌集)

我も思ひ君も忍ぶる秋の夜はかたみに風の音(おと)ぞ身にしむ(新勅撰和歌集)

思ひやれ秋の夜すがら寝覚めして歎きあかせる袖のしづくを(新続古今和歌集)

鳴く鹿の声きくごとに秋萩の下葉こがれて物をこそ思へ(玉葉和歌集)

秋萩のした葉に人はあらねども心ははやくうつろひにけり(続古今和歌集)

秋風に山の木の葉のうつろへば人のこころもいかがとぞ思ふ(古今和歌集)

うつりゆく人の心のあきの色にしぐれも待たずぬるる袖かな(風葉和歌集)

長月のしぐれにぬれぬ言の葉もかはるならひの色ぞかなしき(新勅撰和歌集)