monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

衣更え(その2)

2017年10月01日 | 着物/和服

 日本国語大辞典・精選版の「ころもがえ」の項は、以下のとおりとなっていました。

中古以降のころもがえは以下のとおり。
四月一日から冬の小袖をやめて袷にかえ、寒い時は下に白小袖を用いる(白重シラガサネ)。
五月五日から帷子を着、涼しい時は下衣を着る(一重がさね)。
八月十五日から生絹(すずし)にかえる。
九月一日から練絹(ねりぎぬ)に着かえる。
江戸時代は、四月一日に夏の衣にかえ、十月一日に冬の衣にかえるようになった。

 着物(長着)の襲(かさね)は雑誌や着物本などで見たことがありますが、羽織の襲もあるらしいです。
 近藤富枝「きもの名人」(河出書房新社、2012年、37ページ)によると、久邇宮家で裁縫や手芸の指導をした宮川鈴という方の遺品の中に、羽織の二枚がさねの雛型があるという。身頃は二枚、袖は袖口と裾が比翼なのだとか。襟は別々。綿入れ。
 綿が入っていたということは、寒い時期のものということですね。
 最近、マンガか雑誌を読んでいて目にしたのが、歌舞伎の男性の役柄で二枚羽織を着ているらしき描写。色柄も書いてあって、「メモしておこう」と思ったのですが、結局何に書いてあったのか、分からなくなってしまいました。

 昔はコートに該当するものはなかったでしょうから、羽織を重ねる着方は防寒としては実用的なのかもしれませんね。機会があれば試してみたいです。その際は衿は一枚ずつ折るのではなく、二枚の羽織いっぺんに折るのかな?


古い着物の匂い

2017年07月01日 | 着物/和服

 リサイクル着物を購入することもよくあるのですが、特有の匂いがする場合があります。「自分でできるきもののお手入れ&お直し」(世界文化社、2010年)に、匂い取りテクニックが載っていました。
 大きなポリ袋に冷蔵庫用脱臭剤ときものを10日間ほど入れておくのだそうです。


着物で出かけたいのは

2017年05月29日 | 着物/和服

 着物を着て出かけたい場所としては、能楽堂でのお能の観賞、着物で京都旅行。町へ出てちょっとお買い物、とか友達とお食事とかでも、着物で出かけたいものです。洋服を着ている時とは違い、店員さんからすごく丁寧に応対されたりします。
 以前、着物で出かけて失敗した、と思ったのは、お墓参りです。山の斜面に墓地があるので、急な坂道は大変だと実感しました。うっかりすると、鼻緒から足がすっぽ抜けそうでした。
 初詣を着物で、というのも良いです。あと、結婚式などの慶事は、断然、着物がよろしい。以前は「法事も着物で!」とか思っていて、色喪帯を作ったりもしましたが、独りだけ和服という状態になるので、悪目立ちしないよう、洋服の方がよさそうです。
 書道を習いたいと思っているので、その時は是非着物で出かけたいです。


槌車と橋

2016年06月09日 | 着物/和服

 和服関連の文様に、槌車と橋(と青海波や観世水などの流水文)の組み合わせが定番としてあるようですが、何かの物語とかを象徴する意匠なのでしょうか。あるいは、江戸のどこかの地名を特定する文様だとか? 着物や羽織の柄のほか、帯の柄にもあります。風景柄として使用される時は、葦が一緒に描かれることが多いようです。橋にしだれ柳がかかっている柄も。
 着物文様本にあたれば、何か分かるかもしれませんので、調べてみたいと思います。


衣更え

2015年09月01日 | 着物/和服

 2014年9月26日のブログで「旧暦の秋の衣更えがどのタイミングなのか分からない」というようなことを書いたのですが、たまたま図書館で借りた『日本服飾史』(増田美子、東京堂書店、2013年)に、以下のことが載っていました。*漢数字は旧暦です。

105ページ~
『宗五大草紙』(伊勢貞頼著。大永8年=1528年成立の故実書。)より、男性の更衣(衣更え)について書いてある部分。
三月中 袷+薄小袖
四月朔日から 袷
五月五日から八月 帷(かたびら)
九月朔日から 袷
九月九日から 袷+小袖
十月の亥子 袷+紫色の小袖
十月の亥子から 袷+複数の小袖

123ページ
安土桃山時代から江戸時代の衣更え。仕立て方の違いにより、次の三種類に分類します。
①袷(あわせ):裏を付けて二重に仕立てたもの。
②綿入れ:二重に仕立ててその間に綿を入れたもの。
③単衣(ひとえ):裏の付かないもの。もしくは帷子(かたびら):裏の付かないもので麻製のもの。
四月一日から五月四日まで 袷
五月五日から八月中 単衣・帷子
九月一日から九月八日 袷
九月九日から三月まで 綿入れ

 以上のことから、現代の6月と9月の単衣は、過去の歴史においては「(綿の入らない)袷」の時期と一致しているようです。9月は短いですけどね。
 そうすると、「綿入れ」の時期を現代では「袷」の時期に設定し、「袷」を「単衣」に、「単衣・帷子」を「薄物」にスライドすればよいのだから、旧暦で現代式の衣更えをするとすれば、次のようになるでしょうか。

四月一日から五月四日まで 単衣
五月五日から八月中 薄物
九月一日から九月八日 単衣
九月九日から三月まで 袷

 これを今年(2015年)のカレンダー(新暦)に直すと、以下のとおりです。
1/1~5/17 袷
5/18~6/19 単衣
6/20~10/12 薄物
10/13~10/20 単衣
10/21~12/31 袷

 秋の単衣の時期が短すぎのようですね。それに10月上旬まで薄物、って無理がありますね。現代は、「単衣」と「薄物」の時期は臨機応変でよいでしょうか。薄物から単衣に切り替えるのは、一か月ほど早めたい気分です(もしくは、現代の衣更えを踏襲して「9月から単衣」とするか)。

 この方式だと、夏はともかく、秋の衣更えはやや無理があるようです。
 「単衣・帷子は旧暦五月五日から八月中」、それ以外は袷という考え方に切り替えてみます。江戸時代の綿入れ袷の時期は、『宗五大草紙』を参考に、袷にさらに重ね着するということにして、「袷+羽織」としてみます。
1/1~5/17(旧暦一月一日から三月末日) 袷+羽織
5/18~6/19(旧暦四月一日から五月四日まで) 袷
6/20~10/12(旧暦五月五日から八月中) 単衣・帷子
10/13~10/20(旧暦九月一日から九月八日) 袷
10/21~12/31(旧暦九月九日から十二月末日) 袷+羽織

 これなら、いけそうです。「単衣・帷子」と書いてある部分は、薄物も含む、という考え方です。透けるもの・透けないものの切り替えは、「何月何日」と決めないで、その年の暑さによって、または個人の裁量で切り替えればよいでしょう。

 ちなみに2015年11月19日が旧暦十月の初亥日です。『宗五大草紙』によると、この日から、さらに重ね着をするようですが、すでに羽織を重ねてるので、これ以上何を重ね着すればよいのか、分かりません。

 ついでに長襦袢のことについて書いておくと、現代、袷の時期の長襦袢というと、身頃は単衣仕立てで、袖が無双袖、裾は引き返し、という仕立て方が一般的ですが、私は昔ながらの身頃も袷仕立てになったものを作りたいです。