九重に百(もも)のつかさの引きつれて万代(よろづよ)いはふ時は来にけり(夫木抄)
庭もせにひきつらなれるもろ人の立ちゐる今日や千世の初春(堀河百首)
九重や玉しく庭にむらさきの袖をつらぬる千世の初春(風雅和歌集)
袖たれて玉しく庭をうちはらひふしてぞ春のはじめとはしる(文治六年女御入内屏風和歌)
今日ぞとて袖をつらぬる諸人のむれたつ庭に春はきにけり(弁内侍日記)
をさまれる御代のしるしも大君のすすみてまうす春は来にけり(新千載和歌集)
九重に百(もも)のつかさの引きつれて万代(よろづよ)いはふ時は来にけり(夫木抄)
庭もせにひきつらなれるもろ人の立ちゐる今日や千世の初春(堀河百首)
九重や玉しく庭にむらさきの袖をつらぬる千世の初春(風雅和歌集)
袖たれて玉しく庭をうちはらひふしてぞ春のはじめとはしる(文治六年女御入内屏風和歌)
今日ぞとて袖をつらぬる諸人のむれたつ庭に春はきにけり(弁内侍日記)
をさまれる御代のしるしも大君のすすみてまうす春は来にけり(新千載和歌集)
きさらぎのなかばになると知り顔に早くも来(き)けるつばくらめかな(夫木抄)
つばくらめ簾(すだれ)うごかす羽風(はかぜ)にもかつ散る庭の花ぞ匂へる(草根集)
つばくらめ簾の外にあまた見えて春日(はるひ)のどけみ人影もせず(風雅和歌集)
あはれにも軒ばの燕(つばめ)来鳴くなり去年(こぞ)も巣がけし宿をたづ ねて(草根集)
この春も古巣たづ ねて山がつの宿をはなれぬつばくらめかな(草庵集)
軒端あれて春はむかしのふるさとに古巣たづ ぬるつばくらめかな(壬二集)
ふるさとのねぐらいでけるほどもなく雲井はるかに飛ぶつばめかな(蒙求和歌)
けふ出(い)づ る春のなかばの朝日こそまさしき西の方(かた)はさすらめ(夫木抄)
とにかくに目離(めか)れぬものを ひるよるの同じ時なる花と月とを(夫木抄)
さまざまに春のなかばぞあはれなる西の山の端(は)かすむ夕日に(夫木抄)
かねてよりかすめる空の色を見る春のなかばの入りがたの月(明日香井集)
けふはこれなかばの春の夕霞消えし煙の名残とや見む(玉葉和歌集)
望月(もちづ き)の雲がくれけむいにしへのあはれを今日の空に知るかな(千載和歌集)
いにしへの春のなかばを思ひいでて心にくもる夜半の月影(玉葉和歌集)
かすみ晴れみどりの空ものどけくてあるかなきかに遊ぶ糸ゆふ(和漢朗詠集)
晴れくもりわたる春日(はるひ)もかげろふのあるかなきかの小野の糸ゆふ(草根集)
しづ けくて吹きくる風もなき空に乱れてあそぶ糸ぞ見えける(永久百首)
春風ののどかに吹けば青柳(あをやぎ)の枝もひとつにあそぶ糸ゆふ(夫木抄)
春の織る花の錦(にしき)のたてぬきに乱れてあそぶ空の糸ゆふ(夫木抄)
はるばるとあさみどりなる大空にあそぶ糸をやながめくらさむ(永久百首)
いつとなく思ひみだれて過ぐる世にうらやましきはあそぶ糸ゆふ(六百番歌合)
空に知れ春の軒ばにあそぶ糸の思ふ筋(すぢ)なき身のゆくへをば(六百番歌合)
かげろふのほのめく影を見てしよりたれとも知らぬ恋もするかな(続古今和歌集)
つれづ れの春日にまよふかげろふの影みしよりぞ人は恋しき(新後拾遺和歌集)
夢よりもはかなきものはかげろふのほのかに見えしかげ にぞありける(拾遺和歌集)
世の中と思ひしものをかげろふのあるかなきかのよにこそありけれ(古今和歌六帖)
何事(なにごと)をわれなげ くらむかげろふのほのめくよりも常(つね)ならぬ世に(続古今和歌集)