ゑびらにはあやめやさしくさしそへてひたちの真弓けふや引くらむ(木工権頭為忠朝臣家百首)
あやめ草ながき根ならぬ真弓をもともに今日こそ引く日なりけれ(夫木抄)
ながき根の花のたもとに薫るなり今日や真弓の日折(ひをり)なるらむ(夫木抄)
ゑびらにはあやめやさしくさしそへてひたちの真弓けふや引くらむ(木工権頭為忠朝臣家百首)
あやめ草ながき根ならぬ真弓をもともに今日こそ引く日なりけれ(夫木抄)
ながき根の花のたもとに薫るなり今日や真弓の日折(ひをり)なるらむ(夫木抄)
万代(よろづよ)をかぞへむものは紀の国のちひろの浜の真砂なりけり(後拾遺和歌集)
むかしより思ふ心はありそ海(うみ)の浜の真砂は数も知られず(大和物語)
君がため思ふ心はありそ海の浜のまさごにおとらざりけり(宇津保物語)
わが恋はよむとも尽きじありそ海の浜のまさごはよみつくすとも(古今和歌集)
ありそ海の浜の真砂をみなもがなひとり寝(ぬ)る夜の数にとるべく(後拾遺和歌集)
いかにせむなほ世の中にありそ海の浜の真砂の数ならぬ身を(嘉元百首)
あら磯の岩うつ浪の玉ゆらもくだけてものを思はずもがな(信生法師集)
思ふことありその海に立つ波のよるよるかけてぬるる袖かな(永享百首)
棹(さを)させど底ひも知らぬわたつうみの深きこころを君は知らなむ(古今和歌六帖)
汲(く)みて知る人やなからむわたつ海のちひろの底のふかき思ひを(拾玉集)
わたつうみの浪の千尋(ちひろ)の底よりもふかき思ひのありと知らずや(文保百首)
わたつうみの千尋の底もかぎりあれば深きこころを何にたとへむ(続後撰和歌集)
はるかなるながめも涼しなにはがた生駒の峰のゆふだちの空(夫木抄)
行きなやみ照る日くるしき山みちにぬるともよしや夕立の雨(風雅和歌集)
夕立のほどこそしばしとまりつれ名残もすずし深山木(みやまぎ)のかげ(六百番歌合)
月うつるまさごのうへの庭たづみ跡まですずし夕だちの空(風雅和歌集)
草ふかみ浅茅まじりの沼水にほたるとびかふ夏の夕暮れ(続後撰和歌集)
みだれ行く螢のひかりなさけ見えて月におとらぬ夏の夕やみ(為兼家歌合)
夏ごころもたもとすずしく風すぎて螢みだるる夕闇のそら(三百六十番歌合)
みどりなる木のした草に露みえて夕べの雨の色ぞすずしき(伏見院御集)
ひとへなる身におふほどのたのしみや麻の衣(ころも)の夏の夕風(草根集)