日本国語大辞典では、「三日月の」という枕詞は「ほの見る」にかかるとされており、1835年頃の良寛歌集を用例として挙げています。検索してみると、さかのぼる用例が見つかりました。ただ、枕詞ではなく序詞という解釈もあり得るのかもしれません。
02402 [詞書] 寄月恋 家良
しられしな霞にもるる三日月のほのみし人にこひわひぬとも
(宝治百首~日文研HPの和歌データベースより)
日本国語大辞典では、「三日月の」という枕詞は「ほの見る」にかかるとされており、1835年頃の良寛歌集を用例として挙げています。検索してみると、さかのぼる用例が見つかりました。ただ、枕詞ではなく序詞という解釈もあり得るのかもしれません。
02402 [詞書] 寄月恋 家良
しられしな霞にもるる三日月のほのみし人にこひわひぬとも
(宝治百首~日文研HPの和歌データベースより)
「むらぞめ(斑染)」という単語は、日本国語大辞典では「まだらに図案を染めること。また、そのもの。」と語釈になっていますが、以下の用例だと、語釈は少し違うかなと思います。「まだらに染めること。また、そのもの。」という語釈でよいのではないでしょうか。
滝紅葉
山姫の滝のしら糸むら染になして落ちそふ嶺の紅葉ば
(草根集~新編国歌大鑑8)
「道橋(みちはし)」という語には、「手引きとなるもの。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では1600年の用例を載せていますが、もっとさかのぼる用例があります。
月みても頼みをかけてまち渡るみちはしとなる兎住みけり
(夫木和歌抄、巻第二十七、兎)
『校註国歌大系9』302ページ
「もどかしい」という単語の「思うようにならないで心がいらだっている。はがゆい。じれったい。」という語釈の古用例として、日本国語大辞典は宇津保物語からの用例を載せていますが、少々さかのぼる用例があります。
もどかしくおもほゆるかな彦星のこりず別れて恋ひわたるらむ
(二六・延喜十六年七月七日庚申 亭子院殿上人歌合、十巻本、22)
『平安朝歌合大成 増補新訂 第三巻』同朋舎出版、1995年、219ページ
「もぬけの衣(きぬ・ころも)」という用語は、日本国語大辞典では1539年頃の謡曲の用例を古例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例が複数あります。
寄衣恋 雅世
いたつらにうすき契りは空蝉のもぬけの衣きてもかひなし
(巻第三百八十四・永享九年住吉社奉納百首)
『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、675ページ
06730 [詞書] 隠恋
かひなしや-かけはなれぬる-うつせみの-もぬけのきぬの-かたみはかりは
(草根集~日文研HPより)