3日前、三女が一歳になり、そろそろ勉強しなければという焦りが。出産から一年が経ったということ。一番に思い浮かんだことは、「労働系の本をひと通り読もう」ということ。手元で少しだけ読み進めていたこの本を手始めに。平日のお酒もやめることにしました。
オランダの労働政策が専門の英子先生。先生が、パートタイム労働を中心とした、労働時間を柔軟に、その他賃金や昇給などで不利益を被らない形で選ぶことのできる労働社会を理想として描かれていることがにじみ出ている。その思想の上で、日本の労働行政、とくにパートタイム労働をめぐる政策について俯瞰したり、分析したりした文章が並ぶ。社会保険関係は少しは詳しいつもりでいたけど、「パートタイム労働法」関連は、聞いたことがある程度で、内容にも興味を持ったことがなかった。思想的にも実務的にも、重要になりそうだと思った。その他、印象に残った点をいくつか。
・日本でいう「同一労働同一賃金」は、その実、日本では「均等・均衡待遇」と言われていたもので、ヨーロッパでいわれる「同一労働同一賃金」とは違う
→これ、前から疑問でした!国会とかでよく「同一労働~」とか言い出していたけど、産別賃金になっていない日本でどういうこと?と。正規⇔非正規労働者間での均等・均衡待遇を目指す、ということならよくわかります
・「パートタイム労働」はヨーロッパでも増えている
正規・フルタイムに比べて労働時間が短い、という意味で(賃金率が低いとは限らない)パートタイム労働は日本だけで増えているのではなく、ヨーロッパでも増えているという話
・日本の「フルタイム・パート」(フルタイムだけど非正規)という人は、労働者割合として男性10%、女性13%。短時間正規労働者(パートタイムだけど正規)という人は男性0.6%、女性1.8%。
女性は、育休取得後の人などがこの短時間正規、で働いているのだと思うが、思ったより少ない。私のように、この会社では育休を取っていないけれど、転職時から6時間勤務の正規で雇ってもらっているのはかなりレアと言えるのだなあ。
・パートタイム労働者の条件をよくする動きの狙いとして「パートタイム労働者のモラール向上、定着率の上昇」」がある
確かに、働くことへの責任感は違う、という意味での「モラール向上」かな?
・エンプロイアビリティ(employability:雇用されうる能力)
オランダでは、職業訓練の促進に対する税制優遇や、職業経験を認定する制度(?)などでこれを高める政策がとられたそうな
・オランダも、「連続する契約が3回以上、もしくは連続する契約の合計の機関が3年以上であれば常用雇用となる」という法律がある。日本で「5年で無期転換」となる労働契約法改正がされたことのモデルがここにあるようです
・オランダでは、「使用者にとってフレックス雇用者の活用が正規雇用者に比べて割高にさせる必要がある」という考えでの法改正が近年あったそう
★「使用者と労働者の間には交渉上の地歩(bargaining position)のアンバランスがあり、労働市場が有効に機能するためには、最低生活を保障する枠組みが重要である」→最低賃金制度や、オランダがパートタイム労働の条件向上に力を入れてきた根本的な意味はここにあるのだ、と整理されてスッキリ!!このことで立ち行かない企業が出てくれば、それは非生産的な仕組みの企業なので、市場から退出するのは仕方がない、という話
★正規/非正規、フルタイム/パートタイム・・・など単語の整理として
「典型労働者」/「非典型労働者」
「典型労働者」とは
①フルタイム②期間の定めのない雇用③直接雇用
の条件を満たす人
①を満たさない→パートタイム労働者
②を満たさない→有期雇用
③を満たさない→派遣労働など
となる。
日本の特殊性は、①を満たさないパートタイム労働者、の中に、低賃金率の「非正規」と、短時間正社員という「正規」があり、前者がほとんどであること、である
※参考
「パートタイム・有期雇用労働法」施行について