亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ストレス・テスト

2009年02月25日 18時08分25秒 | 金市場
「試される信認」とでも表現できるだろうか。週明けNY株式市場の寄り前に発表された米国財務省とFRBおよびFDIC(連邦預金保険公社)他の声明文。「民間から資本調達できない場合は一時的に政府が資本を提供する」と発表。実質的に(「金融システムにとって重要な」)金融機関は潰さない方針を表明。そこに追い打ちを掛けるように最高で600億ドル(5兆7000億円)とされる四半期決算としては米国企業で過去最大の赤字見通しを発表したAIG。

さらに市場での国有化懸念の払しょくを図った昨夜のバーナンキFRB議長の上院銀行委員会での証言。金融機関に対し今後追加出資しても、政府は株主として登場するが国有化までは考えないと。価値は薄まりこそすれ国有化による既存株主の持ち分がゼロになることはないと。2007年秋から年末にかけて、シンガポールや中国、そして湾岸産油国の政府系ファンドの資金がぞくぞくと米銀に投じられ、それらは“水浸し状態(大きな評価損)”となっている。今週から米国債の大量入札が始まっているが、その手前もあり、まさか以前投じてもらった救済資金を“ゴメンなさい、ゼロになりました”となる可能性は否定しておきたいのはわかる。国有化は最後の手段ということだが、選択肢として完全否定したわけではない。

ところで景気見通しについてバーナンキ議長は来年から回復軌道に乗るとの見通しを示しているのだが、その条件として「金融安定化にそれなりに成功した場合に限られる」と発言したと伝えられている。きょう(25日)から始まる「ストレス・テスト(金融機関の精査)」は厳し目の環境を想定して行われるという。結局、オフバランス(簿外)の取引をどこまで炙りだせるのかという点に集約されるのは、以前とまったく同じ。いまは政府のコストだけが時間の経過とともに膨れ上がっていく状況。

ただし米国政府が準備しなければならない安定化の資金(コスト)は膨れ上がったとしても、買い取り策など抜本策を提示できれば、まず株式市場は一定水準まで噴くことになる。逆に、できなければ再度奈落へ。金価格の方向性も自ずと決まりそう。米国への信認自体がストレス・テストにさらされる。金市場は初押しの様相。

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1 コメント

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価格予測間違った (ささやか)
2009-02-26 05:49:33
簡単に1000㌦超えられないと思ってましたが間違えました。1000㌦ワンタッチしましたもの。
金価格と株との関連についてfairlane様から指摘がありました。先生が指摘されたように金ETFを通じた金投資が価格形成に大きな影響を持つようになったからと思ってます。実体経済悪化の中で株を買う人が同時に金ETFを買ってるような気がしました。これでは経済の実態悪がすすんだ時には株と一緒に金ETFも売られるかも、と思いました。
実際こういう風に金ETFが買われていたとするなら、結局はアメリカ経済の先行きに対して懐疑的態度を示すもの、最終的にはドルへの懐疑的態度と言えるのではないかと思いました。
言いすぎですかしら?
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