悪化が続く米国景気、確信がもてない投資家

ＮＹ株式市場では金融機関の国有化問題をめぐる投資家心理の“振れ”に株価も上下に大きく“振れる”展開が続いている。前夜に続きバーナンキ議長の金融国有化に対する否定的意見に米金融株は小康状態。

こうした議論が続くなか、実体経済の悪化が止まることなく進んでいるのが現状。ＮＹ時間で株式市場が取引を開始して間もなく発表された１月の米中古住宅販売のデータ。前月比５．３％の減少で年率換算で４４９万戸というものだった。１９９７年７月以来１１年半ぶりの低水準。前年同月比８．６％の減少。ＮＹダウはこの結果に反応、一時は２００ドル安まで売り込まれた。この時に金価格は９８０ドル近辺まで上昇。アジアの時間帯から続いていた利益確定売りの軟調地合いが一転して力強い動きに。

株式市場が中古住宅販売の結果に失望したのにはわけがある。約１ヵ月前に発表された１２月の数字が前月比プラスとなり、価格の下落による需要回復の兆しありという望みが生まれていたのだ。今回の発表に際しても２ヵ月連続の前月比プラスを予想する声が多く、すぐに底打ちとは行かなくともそのシグナルを探そうという空気が漂っていた。背景には、昨年１１月以降に積極化したＦＲＢによる長期金利の引き下げ行動（住宅ローン金利も下落）や政府系住宅金融を使った刺激策があった。市場は１２月のプラスが、その効果の表れと捉えたと思われる。さらに年明け以降、ＦＲＢは年始１月５日から住宅ローン担保証券の買い取りまで始めており、エコノミストの強気の分析への心理的なサポートとなっていたと思われる。

昨夜のＮＹ株式市場は、前日の上院につづき下院でのバーナンキ議長の証言、そしてオバマ大統領の施政方針演説のなかで結局８０ドル安。投資家心理も揺れており、株価が反騰してもトレンドの反転に対する確信が持てない状態につき、株価の戻りには売り向かうというスタンスといえる。金市場もそれを映し上下に振れる展開。９４５～９８０ドルという値動きの大きな展開の後９５０～９６０ドルに落ち着くこととなった。年始からここに至る上昇時の節目となっていた９３０ドルがサポートライン。月初に今年の金の目標価格を７００ドルから平均１０００ドルに引き上げ話題となったＵＢＳはレポートにて、目先の金価格の方向はＥＴＦの動向次第とのこと。確かに異論はありませぬ。