亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

薄められた“ジュース”は美味いのか不味いのか

2005年12月01日 23時13分30秒 | 金融市場の話題
さきほどECBが5年ぶりに政策金利を0.25%上げて2.25%にした。2003年の6月以来続けていた2%の水準をゆるりと訂正に入った。とはいえ市場の方は織り込み済みゆえに、今のところユーロ・ドル相場は目立った反応はしていない。むしろドル円が120円を突破してきた。ドル円に関しては、いよいよ天王山という感じにみえる。さらに円安方向に進むのか、押しとどまるのか。そう言えば、今日はある通信社の記者が見えたが、(最近この見方が多いようなので居心地は悪くなっているのだが)ドル高も年明け3月頃までではないかという話をして、自分なりに話しながら浮かんだのが、その後のドル安円高の中で為替介入が再開されるのではというシナリオだった。自分の場合取材だからといって事前にシナリオを考えるというよりも、その場で話をしているうちにシナリオが組み上がるということも、ままある。経常収支の赤字自体は急に減るような性格のものではないが、赤字をファイナンスしている米国への証券投資(資金流入)は投資マネーという性格上、急増もあれば急減もあるので、急減する事態あるいは急減する予見がありドル安が進む局面では強烈な介入を日本国財務省はするのだろう。もって米国金融の安泰を図ろうとするのではないか。それでも基本的な赤字垂れ流し構造が変わらなければ、問題の先送りに過ぎないことになるので、「通貨の堕落」のようなイメージが増すことに。

結局、話はここに帰ってきてしまうのだが、株や住宅価格という資産市場の維持あるいは押し上げにより景気の安寧を図ろうとするがために、印刷機の回転数を上げてしまい、通貨価値が希薄になった。それは100%のジュースに水を混ぜてしまっているようなもので、それに気付かずに“おいしい、おいしい”と飲んでいる人と“おいしいと思わせている”発行国と“味が落ちた”と思っている人と“これから落ちる”と思っている人と様々な色模様であるわけだ。大半は“おいしいと思って飲んでいる”んだね。その他が不味ければ美味しくも感じるしね。何がホンモノのおいしさなのかは、時代の流れの中で確かに変わるけれど(相対比較での優劣)、本質は変わらない。で変わらない本質とは金だろう。

ドル建て金価格がロンドン時間から急速に戻りに入っている。下げ局面を買い向かいたい向きが引き続き多い様子。
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1 コメント

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ジュースの味 (三太郎)
2005-12-04 21:54:03
ドルの価値がいつまで維持できるかという話をジュースにたとえての説明はなかなか示唆に富む話でした。

100%のジュースに水を一滴入れても誰も気が付かない、しかし10滴20滴と水を入れていけば、味に敏感な人は水っぽさを感じる。ところがこの段階では誰もおかしいとは言い出さない。問題は一滴ずつ水が増えていけばいつかは必ず皆が「ジュースは水っぽい」と叫びだすはずである。そのときドルはクラッシュする。
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