亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

株式市場の弱気が収まらないワケ

2025年03月12日 18時57分12秒 | 金融市場の話題

トランプ政権の関税政策を巡る不透明感は根強く、株式市場はじめ金融市場全般で、政権発足直後までの楽観論は姿を消し見通しの修正を余儀なくされている。株安はその表れともいえる。

 

発表後に二転三転する関税提案にしても該当国からの譲歩を引き出す「ディールの手段」との当初の見方も、課税は現実のものとなり外交摩擦の高まり(貿易戦争)が、米国経済にも悪影響を及ぼすとの見立てが固まりつつある。また、ここに来てのトランプ大統領やベッセント財務長官の発言からは、米経済の減速・後退や株安もやむなしとの方針に立っていると市場は受け取り始めている。

 

この日も前日に加速したリスクオフの株安は止まらなかった。ダウ30種平均は47ドル安の4万1433ドルで終え、2024年9月以来半年ぶりの安値をつけた。2日間で約1300ドル、過去3週間では3000ドル(7%)超の下落となる。他の主要株式指数も続落でナスダック総合も半年ぶりの安値で終了した。

 

そもそも、たとえば一つの素材に対する関税でも、その範囲が第1期政権時とは異なり、かなり広いことが判明するにいたり景気やインフレに対する影響をよりネガティブに捉える見方が増えている。

本日米東部時間12日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発動された鉄鋼・アルミ関税だが、素材のみならず製品にも課税される。ブルームバーグによると少年野球選手らが使うアルミ製バットから、釣り具、葬儀用アルミ製棺などまであらゆるものに最低25%の新たな関税が賦課されるという。これはインフレにつながるだろうし、消費者負担も増す。

しかし、こうした事実が明らかになった場合に支持者は納得するのだろうか。

販売価格に転嫁されるので、これは対抗国を叩くことを隠れ蓑にした実質的な増税という側面も出てくる。

そういえば17年に自らが導入した大型減税が年末に満了になるが、延長は既定路線で、新たな減税法案を準備しているが、そのために財源を確保する必要がある。施行に際して二転三転して市場では拙速の印象が強いが、案外周到に練られたものなのかもしれない。

3月11日のNY金は3営業日ぶりに反発で通常取引は前日比21.50ドル高の2920.90ドルで終了した。買い残整理一巡で換金売り耐性が付いている。

 

ところで昨日取り上げた3月14日に期限を迎える米2025会計年度のみなし予算だが。下院共和党は日本時間の本日早朝に連邦政府の予算執行を2025会計年度末の9月末まで続ける「つなぎ予算案」を可決した。トランプ政権は、そもそも正規の予算案(本予算)の成立を図らず、つなぎ予算で1年を通す意向とされ異例のこと。こんなことが可能なのか?とも思う。

おおむね前年度並みの水準で予算執行を続けるとされる。採決では共和党議員1名が反対に回ったことで、1票差での可決となった。具体的には共和党219議席、民主党215議席だが、下院共和党は2名が閣僚に指名され現在空席になっている。それでこんな僅差の可決になった。米国の議員にいわゆる党議拘束はなく個人の判断で投票する。しかし、法案に反対した議員に対しトランプ親分は、こんどの選挙は覚悟してろよ的な言動をしている。なんだかねぇ。。

ただこの法案だが上院での採決が必要で、足元で成立が危ぶまれている。14日までに成立しない場合、週末にも政府機関の一部は閉鎖される見込みとなる。

 

上院民主党はイーロン・マスクに反発しているようで難しいだろう。これも株式市場の懸念事項。

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