亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

(改めて)500ドルは通過点

2005年11月30日 14時22分47秒 | 金市場
(14:15)なんてこった!昨夜は更新原稿をいつもはワードに一度起こして転載するところを時間も無かったので直接書き込みをしたところまでは良かったが、おそらく最後に「投稿」ボタンをクリックしないまま他のサイトに移ってしまったのだろう。書いた原稿が反映されていないことに気付いた。さて今朝の東京市場を見ていて思うのは、先週大きな抵抗を跳ね返しながら(売りをこなす、すなわち、大商いの中)駆け上っていった価格が、今日は“真空地帯”をストンと落ちている、ということ。つまり値だけ消している。基本的には11月20日(「まずは、買い余力を埋めるところまでだろう」)と23日(「少し休み?」)に書いた見方に変更はなく、その流れの方向に進んでいるように見えるのだが果してどうなるか?確かそのときドル建てより円建て国内価格のほうが調整は大きくなりそうとしたのは、為替を考えてのことだが、結果的に東京が主導権を握って買い上げたことから現実のものになってしまった。

さてさて、以上は超目先の話なので置いておいて、結果的に500ドル達成で今回の相場が終わったかというと、そんな感じは相場つきからも金融環境からも見て取れない。

上げが加速した1月前と今では何も変わっていない。変わったのはFED(米金融当局)が当面の米国経済に自信を深めたことくらいだろう。米国関係で出てくるデータも昨日は中古住宅販売件数が10月は2.7%減少と伝えられると「引締め策も打ち止めか」となり、昨晩は10月の新築住宅販売が好調と伝えられると逆の反応ということで、マーケットも目先のデータに右往左往という感じだ。さしもの米住宅ブームもピークアウトは間違いなかろう。その中でデータに温度差が出ているものと思う。この先、ブームの沈静化が鮮明になるとともに米経常収支の減少も見られるだろうが、こちらの減り方はゆっくりと進みそうだ。その際の投資家の行動が問題になりそうだ。仮に来年の4-6月期以降の景気の沈静化が明らかになってくると、“投資妙味後退”ということで米国への投資マネーの環流も細る可能性がある。投資マネーという性格上、急増、急減は付き物である。ところが経常収支の赤字の動きは緩慢である。すなわち減ったとはいえ巨額の赤字が存在する状態で、米国への資金流入が減少する予見が出てきた場合、ドル相場は大きくドル安に振れることになりそうだ。タイミング的にFRBの議長がベン・バーナンキにバトンタッチした後に、そうした状況が生まれ易い環境になるのではないだろうか。半年以内を見渡しても、こうしたシナリオは書けるのである。それでなくても、いつも指摘するように管理通貨制度(自由にお札を刷れる経済)が曲がり角にたっているわけで、金市場の材料は当面尽きないと思われる。

つまり500ドルを時間を掛けて固めたあと、引き続き強含み、下値切上げのパターンは続きそうということである。つまり500は通過点に過ぎないと思うがいかがか。

画像はいただきもののファイル。気に入ったので掲載させてもらった。
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1 コメント

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トレンド当たれど心は寒し・・・ (いつも拝見しております)
2005-11-30 18:34:56
返信ありがとうございます。返信といい、このスレッドの内容といい至極同感いたします。



しかしこの度の相場、尋常じゃないだけにトレンド当たれど心は寒しといったところです。

金などの個別商品に限れば問題は限定的ですが、取り巻く環境は非常に重く深刻に思えてなりません。



欲しいモノはお小遣いをためて・・・もしくは少ない給料からやり繰りして、高額な商品であれば隅から隅まで調べ上げて、それこそ作り手の気持ちにさえ感情移入して購入したモノはそれこそ魂の品でした。値段じゃない心意気を買ったなどと勝手に思いこんでは喜んでいたあの頃も今は遠く・・・



以前から価格競争なるモノに不安を感じ、やがてはまじめに働くことがバカらしい世の中になるのではと危惧していましたが、まじめに働くことが致命的にならないかと感じ始めています。



クレジットクランチの行き着くところ債権(貯蓄)と債務(借金)の同時解消と考えますが、まさか金融当局がそこまで思い詰めているとは思いたくはありません。



アメリカ政府も一発屋が揃ってきたように思えます。日本も・・・
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