4月11日のNY金は4営業日ぶりに反発。前日比15.20ドル高の2019.00ドルで終了した。先週末7日発表の3月米雇用統計が景気実態の良さを示したことから、下振れを加味して金市場で買いを進めていたファンドの手じまい売りを引き出していたが、それも一巡。この日は対ユーロでドルが下落したこともあり買い優勢の流れがNY時間外のアジアからロンドンさらにNY早朝の時間帯にかけて続いた。この段階で2020ドルを上回り一時2022.50ドルまで買われ、これがこの日の高値となった。NYの時間帯に入り利益確定とみられる売りに2010ドル近辺まで値を消したが、買い意欲は強く終盤にかけて買い先行の流れが復活。終盤は2020ドルを挟んだ取引となり、そのまま終了した。
前日に一時2000ドル割れを見たものの、安値拾いの買いに短時間で2000ドル台に復帰したことが、買い意欲の強さの表れとして市場センチメントを後押ししている印象の展開といえる。結局、11日も2000ドル超で終了し、これで6営業日連続で心理的節目の水準を上回って終了となった。
本日12日は日本時間の午前10時過ぎから上げ足を速めた。日本時間の昼前には2030ドル台に乗せ、そのままアジア時間の午後には一時2036.40ドルまで 付けた。その後ロンドン時間に入る手前で売り優勢に転じ、2020ドル台半ばで推移している。 折しも植田新体制に移行した日銀が、今のところ政策変更なしを示したことでドル円相場が円安に振れていることから、JPX金先物は一時8669円と過去最高値を更新。現物の店頭小売価格も連日の過去最高値更新となっている。
市場は本日NY時間12日午前8時半(日本時間21時30分)に発表される3月の米消費者物価指数(CPI)の結果待ちとなっている。CPI総合指数については、前年同月比で2月の6%の伸びから5.1%に鈍化が予想されている。 ただし、重視されるのはエネルギーと食品を除いたコア指数(コアCPI)となる。ここにきて連邦準備理事会(FRB)は、このコアCPIをさらに財(goods)とサービスに分けインフレ動向を探っている。そのコアCPIだが2月の5.5%に対し3月の予想は5.6%と加速するとみられている。このところコアCPI財は鈍化が目立つものの、コアCPIサービスは人件費の上昇などからむしろ上昇しており、足元のインフレの“しつこさ”を印象付けている。
いずれにしても(表面的な)総合指数の結果では判断できなくなっている。
したがって本日の3月CPIについては、市場内では上振れを警戒する見方が強いのが実情で、11日の米債券市場では売りが出て10年債利回りは3営業に連続で上昇となった。仮にコアCPIが予想比上振れとなった場合、市場横断的に値動きが大きくなる(荒れる)可能性がありそうだ。
金市場ではファンドのロング(買い建て)が4週連続で増加し重量ベースでは376トンも増えており、売りが出やすい状況にあるだけに展開が注目される。