亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

高値更新を視野に入れるNY金

2023年04月13日 20時02分28秒 | 金市場

4月12日のNY金は続伸となった。通常取引は前日比5.90ドル高の2024.90ドルで終了した。

注目の3月の米消費者物価指数(CPI)の結果を受け、乱高下した。総合指数の鈍化を受け一時急伸し2043.90ドルと1週間ぶりの高値を付けたものの、データの細目から基調的なインフレ圧力が継続していることが確認されると一転売り圧力が高まり急落し、2015,70ドルの安値を付ける荒れた展開となった。その後2020ドルをやや上回る狭いレンジの取引に移行し、通常取引はそのまま2024.90ドルで終了した。

 

時間外取引に入った時間帯に発表された3月21~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では銀行不安の高まりを考慮し利上げの一時停止が検討されたことが判明すると、再び買いが優勢となり2030ドルを上回る水準に浮上。通常取引は2029.60ドルで終了した。

 

3月の米CPIは、総合指数は前年同月比5.0%上昇と前月の6.0%から減速し、2021年5月以来の穏やかな伸びになった。昨年6月をピークに9カ月連続で鈍化したことになる。市場予想の5.1%も下回った。ただ、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数(コアCPI)は前年比5.6%上昇と、6カ月ぶりに伸びが加速した。前月は5.5%で市場予想の5.6%に沿った結果となった。前年同月比ベースでコアCPIの伸びが総合指数の伸びを上回るのは、この2年余りで初めてのこと。

 

総合指数の伸びが予想を下回る前年比5%になったことで、いったんは買い優勢に転じた金市場だったが、コア指数が前月より加速したことで、一転し売り込まれることになった。それはそのまま連邦準備理事会(FRB)の利上げ政策の先行き判断に焼き直され、当初はFRBが早期に利上げを停止するとの見方に傾いたものの、コアCPIからは停止には時間を要するとの見方が浮上したことによる。

 

実際にCPIの結果発表後に米経済チャンネルCNBCのインタビューを受けたリッチモンド連銀のバーキン総裁は、「確かにインフレのピークは過ぎたと考えるが、まだ道のりは長い」と発言。「食品とエネルギーを除いた価格はまだ高過ぎる」と述べた。その上で「われわれが望む水準にコア指数を戻すには、さらにやるべきことがある」と利上げを示唆した。

 

一方、3月のFOMC議事要旨では、複数の銀行破綻で市場が混乱したことを受けて、当局者らが利上げ予想を後退させたことが判明した。今後銀行が融資に慎重になることで「総需要を圧迫し、インフレ圧力の軽減につながる可能性がある」とした。不確実性の高まりが家計の心理を冷やして消費を抑制したり、企業が設備投資や新規雇用を絞ったりする可能性についても意見を交わしたとしている。利上げの一時停止については議論の結果、インフレ対応を優先し利上げすると結論付けたことが分かった。

 

議事要旨にて今年後半に穏やかな景気後退が起こるというスタッフ予想が示されたことが注目された。内容的には総じてハト派といえそうだ。通常取引終了後の時間外にNY金が再び2030ドル台に浮上した背景でもある。

 

本日13日のNY金はNY時間外のアジアから現在のNY早朝まで、前日の水準をさらに切り上げ2040ドル台に入っている。終値ベースでの過去最高値は2020年8月6日の2069.40ドルで、30ドルほどに迫っている。

 

先週来2050ドルの壁を越えられない展開だが、切り上げた水準を維持し滞留する間に売り物をこなす展開に見える。時間の経過とともに、最高値の水準がいつしか当面の目標価格に転じ更新というのも、マーケットではあるパターンといえる。

きかっけ待ちと思うが、どうなるか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国内金価格連日の最高値更新... | トップ | NY金、相場の強さを感じさせ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事