10月最終日31日のNY金は5営業日ぶりに反落した。通常取引は前日比11.30ドル安の1994.30ドルで終了した。
イスラエルとイスラム組織ハマスの武力衝突が拡大していると伝わっているものの、現段階では懸念されてきた周辺国の原油供給に影響は出ておらず、人道的見地は別として他の周辺国や組織との間での衝突拡大にも至っていないことから、市場は一定の落ち着きを見せている。
原油価格は続落となり、米国産原油WTIは前日比1.29ドル安の(1バレル=)81.02ドルで終了。これは今年8月下旬以来約2カ月ぶりの安値となる。
昨日取り上げたように、NY金先物市場での短期筋のファンドの買い建て(ロング)が、10月10日時点での重量換算で46トンの売り越しから24日時点での282トンの買い越しまで、2週間でネット328トンも買われており、内部要因からは売りが出やすい状況に転じている。
31日のNY金は、NY時間外のアジアからロンドンさらにNY午前まで買い優勢の流れが続き、いったんは2017.70ドルまで買われたものの、上昇モメンタムが失われると下げが早かったのは、こうした内部要因の悪化によるとみられる。 下げへの転換はきっかけとしては米長期金利の上昇やドル指数(DXY)の上昇を手掛かりにした、ファンドの売りによりもたらされている。
目先は買い一巡からの調整局面に移りつつある。
その点で市場の視点は、いったん地政学要因から本日1日に声明文が発表される連邦公開市場委員会(FOMC)の結果に移っている。
FOMCに関しては政策金利の据え置きが織り込まれており、そのとおり変更なしとなりそうだ。注目は言うまでもなく、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見。
前回9月の会合でのメンバー予測で年内の追加利上げ見通しが示唆されたことから、その後市場金利が大きく反応。10年債利回りが16年ぶりの高水準の更新を続け、ついに10月23日には5.022%まで上昇。そこに至る過程にてFRB高官の中には、長期金利の急ピッチの上昇自体が景気抑制的として、FRBの利上げを代替するものとの見方が示されていた。記者会見にてパウエル議長が同様の認識を示すのか否か。また示した場合、どのように語るのかが注目される。
また12月会合に向けて何らかの示唆的な発言の有無も注目される。質疑応答では中東情勢や米国議会の紛糾などの金融政策への影響が問われると思うが、どう答えるのかも興味深い。