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いやぁ~久々のいい天気。全国的にそうみたいだけど、今シーズン初めての好天という感じ。久々に散歩を兼ねて昼を食べに外に出て、川沿いの公園を歩いたら気持ちよかった。湿度が低いので風が心地いい。桜並木はすっかり青々とした葉をつけていて、都会の緑もがんばっているぞぉ~と自己主張。見れば小振りの木には小さなサクランボが。鳥が啄(つい)ばんでいたのは、これだったんだ!と発見。
以下、参考までに5月15日に「ある通信社のコラム用の原稿」として(あの時点で)掲載前ということで最初の部分のみ載せたものの続きです。具体的にはReuters(ロイター)の「Insight」。
なお、ブログという媒体を考え、読みやすくするため原文より段落を増やしています。
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ドル安を加速させる中国の金準備買い増し
(冒頭部分省略)
一部の報道では30%割れと今や共和党支持層のコアの部分を残すのみとなったブッシュ政権の支持率は、秋の中間選挙を控え後のない状況になりつつある。首席補佐官、報道官という人事の刷新も支持率上昇のきっかけとならず、さりとて外交的得点もままならぬブッシュ政権にとって、海外との競合産業を抱える地域の選出議員から寄せられるドル高是正要求は、さぞ頭の痛い案件だろう。赤字拡大に歯止めが掛からない中国に対するプレッシャーは、国内政治の材料という側面もあり必然的に高まることとなる。それに対する中国サイドも負けてはいない。国連安全保障理事会の常任理事国として、ブッシュ政権の足元を見ながらイラン問題を当然の如く外交材料とする。加えて世界最大規模に躍り出た外貨準備をも外交材料にする気配が見え始めている。
実は金市場では、年始から中国による金準備の買い増し観測が繰り返し流れている。年始早々、人民銀行の下部組織で外貨準備の運用を担当する「国家外為管理局(State Administration of Foreign Exchanges 略称SAFE)」が、2006年の優先課題として「外貨準備の運用と管理の改善と、より有効な活用方法の積極的模索」なる声明を発表し、外貨準備に占めるドルの比率の見直しを暗示した。
これは金市場では、金準備買い増し見通しとして翻訳(意訳?)された。ひとつの情報を(各市場の内情に沿って)都合のいい解釈がなされるのはよくある話ではある。以降もこの類の話は続き、ここに来ては国有商業銀行のエコノミストなどの見解として、より直接的に外貨準備の一部を使った金準備の積み増し提案が盛んに流されている。しかもそのタイミングが、米国が中国に対しプレッシャーを高める時期に不思議に符合するのだ。
言うまでも無く、外貨準備を使った中国の金準備積み増しは、一般に米国債売りを意味する。したがって中国の金準備増加の意味するところは、その規模の有無を問わず心理的効果も手伝い、金市場は言うに及ばず米債券市場、ドル相場の波乱要因となる。もちろん相互補完体制の進んだグローバル化経済の中では、(あからさまな米国債売りは)中国自身にも“火の粉の掛かる”事態となると思われ、下手な行動は(時に言動も)取れないのも事実だろう。その面では抑止力が働くことから、口先だけの話といえなくもない。
ただし無視できないのは、人民銀行は2001年、2002年と金をそれぞれ100トンずつ買い増しをしており、昨今の外貨準備の増加ペースを考えると蓋然性の高い話でもある点だ。90年代にはユーロ参加の準備としてオランダやベルギーが金準備の放出を行った際、BIS(国際決済銀行)を仲介者として一部を中国が引き取ったという話もあった。一般にG-G取引(Government to Government)と言われるもので、この方法は売りものを市場に晒さないので直接的な影響は少ないとされるが、足元のような状況ならば事後発表であったとしても結構な波乱材料になるのは避けられないだろう。一昨年の秋、上海で開かれた国際金会議で周小川人民銀行総裁のスピーチがあり、中国国内での金市場の拡大に対する熱意を感じたが、金の自由化を進めることで為替介入資金の不胎化の一助にするという解釈の成り立つ話でもあった。
さて為替市場では、国際不均衡問題がメインテーマになってきたが、米国サイドが(そして主要国も)望むとされる穏やかなドル安は、そのまま穏やかなままでは進行しないのが経験則の教えるところである。いずれは加速ということも念頭においておいた方がよさそうだ。中国の金準備積み増しという話があるとするならば、その引き金を引くニュースとなるのではないだろうか。
以下、参考までに5月15日に「ある通信社のコラム用の原稿」として(あの時点で)掲載前ということで最初の部分のみ載せたものの続きです。具体的にはReuters(ロイター)の「Insight」。
なお、ブログという媒体を考え、読みやすくするため原文より段落を増やしています。
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ドル安を加速させる中国の金準備買い増し
(冒頭部分省略)
一部の報道では30%割れと今や共和党支持層のコアの部分を残すのみとなったブッシュ政権の支持率は、秋の中間選挙を控え後のない状況になりつつある。首席補佐官、報道官という人事の刷新も支持率上昇のきっかけとならず、さりとて外交的得点もままならぬブッシュ政権にとって、海外との競合産業を抱える地域の選出議員から寄せられるドル高是正要求は、さぞ頭の痛い案件だろう。赤字拡大に歯止めが掛からない中国に対するプレッシャーは、国内政治の材料という側面もあり必然的に高まることとなる。それに対する中国サイドも負けてはいない。国連安全保障理事会の常任理事国として、ブッシュ政権の足元を見ながらイラン問題を当然の如く外交材料とする。加えて世界最大規模に躍り出た外貨準備をも外交材料にする気配が見え始めている。
実は金市場では、年始から中国による金準備の買い増し観測が繰り返し流れている。年始早々、人民銀行の下部組織で外貨準備の運用を担当する「国家外為管理局(State Administration of Foreign Exchanges 略称SAFE)」が、2006年の優先課題として「外貨準備の運用と管理の改善と、より有効な活用方法の積極的模索」なる声明を発表し、外貨準備に占めるドルの比率の見直しを暗示した。
これは金市場では、金準備買い増し見通しとして翻訳(意訳?)された。ひとつの情報を(各市場の内情に沿って)都合のいい解釈がなされるのはよくある話ではある。以降もこの類の話は続き、ここに来ては国有商業銀行のエコノミストなどの見解として、より直接的に外貨準備の一部を使った金準備の積み増し提案が盛んに流されている。しかもそのタイミングが、米国が中国に対しプレッシャーを高める時期に不思議に符合するのだ。
言うまでも無く、外貨準備を使った中国の金準備積み増しは、一般に米国債売りを意味する。したがって中国の金準備増加の意味するところは、その規模の有無を問わず心理的効果も手伝い、金市場は言うに及ばず米債券市場、ドル相場の波乱要因となる。もちろん相互補完体制の進んだグローバル化経済の中では、(あからさまな米国債売りは)中国自身にも“火の粉の掛かる”事態となると思われ、下手な行動は(時に言動も)取れないのも事実だろう。その面では抑止力が働くことから、口先だけの話といえなくもない。
ただし無視できないのは、人民銀行は2001年、2002年と金をそれぞれ100トンずつ買い増しをしており、昨今の外貨準備の増加ペースを考えると蓋然性の高い話でもある点だ。90年代にはユーロ参加の準備としてオランダやベルギーが金準備の放出を行った際、BIS(国際決済銀行)を仲介者として一部を中国が引き取ったという話もあった。一般にG-G取引(Government to Government)と言われるもので、この方法は売りものを市場に晒さないので直接的な影響は少ないとされるが、足元のような状況ならば事後発表であったとしても結構な波乱材料になるのは避けられないだろう。一昨年の秋、上海で開かれた国際金会議で周小川人民銀行総裁のスピーチがあり、中国国内での金市場の拡大に対する熱意を感じたが、金の自由化を進めることで為替介入資金の不胎化の一助にするという解釈の成り立つ話でもあった。
さて為替市場では、国際不均衡問題がメインテーマになってきたが、米国サイドが(そして主要国も)望むとされる穏やかなドル安は、そのまま穏やかなままでは進行しないのが経験則の教えるところである。いずれは加速ということも念頭においておいた方がよさそうだ。中国の金準備積み増しという話があるとするならば、その引き金を引くニュースとなるのではないだろうか。
一時期、円のレパトリに国債以外の全ての市場が泣いた過去があります。
今回はドルのレパトリです。
円より巨体なだけに気がかりです。
ただ、何となくそんな気がするだけで、気のせいかもしれません・・・