亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金準備の再評価を否定、ベッセント米財務長官

2025年02月21日 21時02分00秒 | 金市場

昨夜のオンラインセミナー参加の皆さん、ありがとうございました。次回は少なくとも半年先になります。

 

NY金の最高値更新が続いている。2月20日はNY時間外のアジア時間午後からロンドンの午前に掛けて買いが先行し、2月11日に付けていたこれまでの最高値を上抜き一時2973.40ドルまで買われた。その後、NY時間に入りややまとまった利益確定と見られる売りに、急速に上げ幅を失う荒れた展開に。

一時は2939.20ドルまで安値を見たものの売りが一巡すると切り返しも早く、終盤に向けて水準を切り上げ前述のように2956.10ドルで終了。結局、終値ベースでも最高値を更新して終了した。終値は前日比20.00ドル高の2956.10ドルで終了した。

引き続きトランプ関税への警戒やウクライナを巡る米ロの話し合いが進展する中で米ウクライナの首脳間で軋轢が高まるなど地政学リスクの高まりも金価格を刺激している。 その中で20日発表の米経済指標が景気減速を示したこともあり、米長期金利の低下とともにドルも主要通貨に対し売られ、当初は買い先行の流れが続いた。トランプ大統領が輸入自動車への追加関税について「来月、またはそれよりも早く発表する」意向を示したと伝わった。半導体や医薬品のほか、木材にも追加関税を検討しているとされる。

 

ところがNY時間に入って間もなく売りが膨らんだのは、ベッセント米財務長官が、米国が保有する金準備について評価替えを行うという一部の観測を否定したことが手掛かりとの指摘がある。

1973年以来1トロイオンス=42ドルに固定されている評価を現在の市場価格に再評価することで資金をねん出し、政府系ファンドの創設の原資としたり国債発行を抑えるとの観測があった。しかし、この日同財務長官は米国債の発行に関連した質問に際してこの内容を問われ、「私の考えになかった」と述べたと伝わった。もともと英フィナンシャルタイムズの観測記事だが、日のないt頃に煙は立たないと思っている。

財政赤字の拡大が確実視される中で、保有する金の再評価はあり得る選択肢だった。 金価格の想定を大きく超える上昇持続の中で、様々な憶測が今後も生まれそうだ。

 

なお、米経済指標では先週は1月の小売売上高が予想外のマイナスとなり前月比0.9%減とマイナス幅も大きかったが、この日米小売大手ウォルマートが発表した今年度の売上高と利益見通しは市場予想を下回り、消費者需要の減退を示唆するものだった。またフィラデルフィア地区連銀が発表した2月の製造業景況指数は18.1と、1月の44.3から大きく低下。低下幅は約5年ぶりの大きさとなった。2月15日終了週の新規失業保険申請件数は21万9000件と、市場予想(21万5000件)を上回った。さらに1月の景気先行指数も前月比での低下幅が予想を上回った。

堅調展開の米経済にやや陰りの兆しを思わせる内容と言える。

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