亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

夜明けの予感はホンモノか

2013年01月16日 23時58分11秒 | 金市場
米国での景気見通しをどう読むか。これがそのまま各市場の価格予想につながるという展開になってきている。ドル円しかり、また金価格しかり。米国景気は昨年後半まで回復のペースが“イライラするほど緩やか”とFOMC後の記者会見でFRB議長が表現する状態にあった。ならば現状は?たしかに住宅市場は底打ちしたようだ。しかし、それ以外は目立って改善を示している分野は少ない。自動車の販売台数は回復の力強さが見て取れる数少ない部門だろう。

2012年の10-12月期に上げ足を削った金は、ひとつに「財政の崖」問題から派生するリスクをヘッジする対象として買われるのではなく、リスクを回避するために売られることになった。正確には、その両方が存在したが売り方がファンドにつきレバレッジを利かした先物市場の売り物に押し切られることになった。そして年明けには、株高に誘発された(と見られる)景気回復期待の高まりの中で発表されたFOMC議事録は、もっぱらバランスシートの拡大に対する懸念から量的緩和策の早期撤収論が、景気回復を見越すから撤収を主張という受け止め方に比重が置かれたことから、金は頭の重い展開に。

その中で15日に発表された世界銀行の世界経済見通しは、昨年6月の前回予想から下方修正された。具体的には実質3.0%から2.4%となった。日米欧の回復力が課題としている。生産や投資が弱く、予想に比べ成長率が鈍ると。ユーロ圏については13年はマイナスとしている。当の米国も当初の2.4%から1.9%に下方修正となった。現実問題として、仮にこの程度の成長であるならば、12月のFOMCでターゲットにした6.5%の失業率は年内の達成は難しいということになりそうだ。結局、足元で起きている株高に象徴される“夜明けの予感”は、カネ余りの賜物ということにならないか。

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