亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

意識される買い残9115憶ドル(101兆円)の重み

2021年10月06日 20時40分35秒 | 金融市場の話題
本日はまず昨日詳しく書いた米国のdebt ceiling (債務上限)の話から。現地10月5日の米CNBCの番組に出演したイエレン財務長官が、議会が18日までに債務上限を引き上げられなければ「米経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性がある」と警告しました。以前は、とんでもないことが起きるというニュアンスで語っていたので、ややトーンダウンという感じだが、18日というのは、多少の余裕を持っての期限ということと思われるが、2週間などあっという間に経過するので、時間はないのは確かだ。米格付け会社ムーディーズは、米政府は10月15日に約40億ドル、11月1日に140億ドル、11月15日に490億ドルの利払いが控えているとしている。当然米財務省は来週15日の利払いはクリアできるとの見込みで18日の日を割り出していることになる。

もちろん支払いが滞れば、デフォルト(債務不履行)に陥ったと見なされ、相応の混乱は避けられないのは言うまでもない。ただし、仮にそうなったとしても、政治対立によるもので、支払い能力はあることに変わりはない。したがって、一般的なデフォルトとは質的に異なる。それでも株式市場で集中買いされている特定銘柄のバリュエーションが高いので、下げの影響はどの程度になるのか読み切れない。いわゆるラスト・ストローになり惨事に発展する可能性もなくはない。それでここでは、債務上限問題は「テールリスク」と書いた。まずは回避されると思う。

5日までの時点で進展はなく、債務上限の22年末までの効力停止を掲げ週内にも採決をしたい民主党に対し、共和党は拒否の構えを崩していない。民主党は財政調整措置(リコンシリエーション)を使って単独可決すればいいじゃないかとのスタンス。時間が迫れば、その方向に向かわざるを得ないのだろう。

前日にハイテク株を中心に大きく売られた米国株式だが、自律反発の域を出ずという感じ。NY時間午前10時に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の非製造業景況指数が市場予想を上回り好調が判明すると、景気の底堅さを好感して上げ幅を拡大と伝えられた。しかし、ここまでの順の回転が止まってしまったことで、調整は長引きそうだ。

昨日、書こうと思っていたものに、米国のマージンデット(証拠金債務)が8月末に過去最高残高を更新したことがあった。先週明らかになったが、株式投資の融資残つまり信用買い残だが、その額は9115憶ドル。昨年来過去最高残の更新を続け、6月に8821憶ドルと9000億ドルに達していることを過熱の証しとしてラジオNIKKEIのマーケット・トレンドPLUSでも先月取りあげたが、7月に8443億ドルにやや後退した後に、8月についに9000億ドルを突破していた。言うまでもなく、調整局面が深くなるとマージンコール、すなわち追証が発生するので、いったん回転が止まると残の重さが意識されるのではないかと思う。10月の米国株は値動きが荒くなる(ボラティリティが上がる)というのがアノマリーだが、そのような感じだ。

さて、本日はADP全米雇用報告の発表
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