米大統領選は両候補による第1回目のテレビ討論会が始まった。双方の非難合戦を含め論戦が繰り広げられた。生中継と後追いのニュースを見たが、政治経験が豊富で討論慣れしているヒラリー・クリントンのそつのなさが目立つものの、既存の体制に変化を求めトランプを支持する人の意志を変えるまでには至らないという印象が強かった。一般的な感覚としては、ヒラリー有利に映るのだが、やはりわからない。指導者としての“強さ”を求めるという伝統的な米国人気質がトランプ支持の背景にはあり、日本目線のわれわれの理解を超えた部分でもあろう。論理的な政策の組み立てを超えた、イメージ戦という大統領選の持つ側面は無視できず、これ以降の各種世論調査の結果に市場は反応するものと思われる。現時点では、トランプ優勢が波乱要因と捉える見方が多いとみられる。
足元ではドイツ銀のMBS(住宅ローン担保証券)の販売を巡って不正があったとして、米司法当局が同行に対し140億ドルの和解金の支払いを求めたことが、市場の関心事となっている。最初に話が伝わったのが2週間前の9月15日のこと。当初は話し合いが進み、減額されるのではといった高をくくった見方が支配的だった。そうは行かず、資本不足に陥るのではという話に転じたのは先週あたりから。
・・・・で一時は落ち着いた同行株価が急落し再び最安値更新となった。こうなるとECBのマイナス金利導入で収益基盤が弱まっていることもあり、金融株が連鎖的に売られという展開に。一般的には、やがて落ち着くのだが、世界的にカネをばら撒くことで“落ち着かせた”だけに、安定しているようで一皮むけば不安定という構図は続いているだけに予断ならずということ。いまや欧州は、12月実施が決まったイタリアの国民投票より金融問題が懸念事項ということになった。