亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

買いに向かう中央銀行

2007年03月15日 23時19分59秒 | 金市場
本日も遅くなってしまった。金市場の中の話(内部要因)で、今週は2次ワシントン協定で5年で総額600トン単年で120トンの売却枠を持っているドイツ連銀のウィーバー総裁が記念金貨鋳造用の8トンを除いて売却予定はないと発言していた。次年度についても予定はないと。結局ドイツは600トンの売却枠だけ持ってはいるが、行使しないという話。数量ベースではバカにならない量だが、これは今や市場内では織り込み済みの話といえる。そもそもユーロ導入国に課せられた「安定成長協定(単年度の財政赤字をGDPの3%以下に抑える)」をドイツなど中軸国がクリアできていないことからこの話は始まるのだが、ドイツは金売却ではなく増税(付加価値税を16%から19%に引き上げ済み)で道をつけるということをやった。メルケル首相はドイツ版「鉄の女」かもね。結局ワシントン協定売却枠は有名無実化しつつある。・・・・で調べると相変わらず積極的な売り手はフランスだ。昨年10月からでも毎月コンスタントに売りを続け1月までの合計で48.1トン売却している。おやっ!?というものは、年末にユーロ圏内で「買い!!」のデータが出て驚き、後にどこの国か分かったギリシャが11、12、1月と少しづつ買って計3.8トン。外貨準備の構成比率でドルの比率を下げるんだと公言しているロシアも10月から1月までの4ヵ月で13.6トンの買い。ロシアなど口で言うほどの量ではないが、確かにコンスタントに買ってはいる。そういえば国名は現時点でわからないがユーロ圏内の国で2月に14トン買ったところがある。いずれにしても中銀の買いがそれぞれは小口だが、買いに入る件数が増えているのは注目に値する。10年前では考えられない現象といえる。針は180度振れたわけではないが、中銀といえば「売り」だったが、「買い」も実際に出てきているということ。地味だがジワジワとセンチメントを変えていく材料となりそうだ。ところで少なくとも中銀レベルでは、フランスは「金信奉で知られる」などということは昔話ということ。

ところで最近、ロンドンの地下鉄の初乗り料金が3ポンドから4ポンドに上がり、日本円に換算すると900円にもなるという話をここに書いたことがあった。この年始まで1年半ロンドンにいた人と今夜数人で飲む機会があったが、キャッシュで乗るとその料金だが、日本版スイカやイコカ、あるいは今度の日曜(18日)から関東地区でも登場する共通乗車カード「パスモ」のようなものがロンドン地下鉄にもあって、それを使うと初乗りが1.5ポンドなんだそうな(それでも約350円)。それまでの初乗り2ポンドを3ポンドに上げ、さらに4ポンドに上げた背景には、その乗車カードの普及を促進したい政治サイドの思惑があるのではないかということだった。それでもロンドン地下鉄の初乗り900円は、いかに現時点で日本円に価値が無くなっているかを思い知らせる数字ではある。

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サブプライム・ローン | トップ | 再びグリーンスパン発言 »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
金売却に走るフランス、金を買わない日本、それぞれの中銀 (Unknown)
2007-03-16 19:27:31
フランスが金を売るのはやはり、財政赤字のためなのでしょうか?

フランスの保守政権が何故、金売却を容認しているのか理解出来ません。かつての金好きな国民性は薄れつつあるのでしょうか?





日本銀行はまったく金を買いそうにありません。まだまだデフレが続いているし、輸出頼みの経済・財政運営に協力するためなのか、円安黙認・誘導のため、円通貨の価値を守ろうとする意思は無いように思います。



巨額な財政赤字と、後退するかも知れない日本の生産力を見ると、円安はキャリートレードが崩壊しても、続いて行く気がします。



日本は経済力や規模にふさわしい金の保有をしてもらいたい気持ちです。



返信する
国が買わないからETF (芭蕉)
2007-03-16 22:47:11
ご存じの通り、日本の金保有は700トンと少し、ここ数年まったく増えてません。アメリカ国債とドルを買うのに忙しそうだし。先生いったい日本はどのくらい米国債持っているのですか?しかし、国民はここ数年間相当量買いました。しかし頭打ち。世界の鉱山会社は考えました。国が買わない・個人も頭打ち。一番お金が自由になるのは?そうです。他人からお金を預かるファンドに年金基金。しかも年金系は国有に近く長期保有が見込まれる。しかし彼らは組織ゆえ、現物の保有場所に困ります。そこででたのが企業版純金積み立て。積み立てではないが預かってもらえる現物買い。人様の年金を30年からの長期視野で考える人たちにはぴったり。某国のような国債を持つよりは100倍安心。国と個人の真ん中のマーケットを創造し新しい需要創造。これぞまさしくマーケティング。今年は日本の莫大な年金・生保のお金を狙って黒船襲来。今年後半から来年以降に向けてかなりの量が国内でも買われるのでは?日本の経済にふさわしい規模になるかもしれません。だって、大証・東証の商品ですよ。日本人年金担当者好きそうですね。ゼロにならないし。安定株主みたいなものですから価格上昇を下支えしますよね。超金持ち資産家も買うでしょうね。
返信する
この国の事も知って欲しいの (ささやか)
2007-03-16 23:59:27
亀井先生、先日は補足説明有難うございました。
高齢者なのに2チャンネル見て、目がチラチラして…この書き方でいいか、推敲不十分、ちょっと不安でした。
「愛国者の条件」読んでる時、目に入ったコメント、気になったので、でしゃばりをお詫びします。
情報の収集・分析能力は投資に大切、大局観をもって投資に臨んでね、と言いたかったのですが、本当は…

返信する
Unknown (ジャック)
2007-03-17 10:41:32
日本は敗戦後、国も個人も主体性を完全に奪われてしまいましたね。世界がドル離れしているといっても、この国はユーロや金など他の資産を増やして守ろうなどという動きにはなりません。
全て米国の言いなり、勿論個々人・企業を守る気持ちなど微塵もありません。
5月には企業買収しやすいように法を改めるらしいですが、どう見てもハゲタカの為としか思えませんよね。
仮に今後円高になっても、そう長続きしないだろうなと想像されます。もし1ドル110円以下みたいな円高が来たら、それこそ金や外貨・外国株など海外資産を買うチャンスではないでしょうか。
自分の身は自分で守りましょう。
返信する
為替 (こがねむし)
2007-03-17 12:47:18
為替のご説明ありがとうございました。

私はよくわかりませんけど、著名な投資家やアナリストはドル危機の予想が多いように思います。60円に備えている企業もあるようです。
と、なると金の出番か・・・とまた妄想(笑)

自分の利益ばかり考えがちですが、ゼロにはならない資産という心がまえがいいかもしれませんね。ささやかさん言われてましたが
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事