昨日にわかに表面化したポルトガル最大手行の経営不安問題。問題の中心はバンコ・エスピリト・サント(BES)の親会社が短期債務の返済を延期したこと。欧州株が金融不安の連鎖懸念から大きく売られる中で、火消しに回ったのがポルトガル中央銀行だった。バンコ・エスピリト・サント本体の財務内容に問題はなくグループ企業からの影響の波及はないと発表。仮に同行による親会社エスピリト・サント・グループ(ESG)に対するエクスポージャー(投融資)に損失が発生しても吸収可能というお墨付きを与えた。中銀が前面に出て、そういうのだから問題なかろう、というのが市場の反応となった。
リーマンショックからその後のユーロ危機に際して、ユーロ圏とりわけ南欧の金融機関の不良債権問題が懸念されたが、その後は沈静化、やがて市場の関心事からは消えていた。それだけに唐突に表れた経営不安に当初は詳細が不明のために金融不安の連鎖を懸念する見方が高まり同時株安状態となった。南欧債は一斉に売られ利回りは上昇することになった。ただし、NY時間外のロンドンの取引時間帯を中心に買い優勢の動きが続いた金だったが、市場に安心感が広がるにつれて、徐々に売りに押されることになった。
ここしばらく市場の関心事から離れていた欧州の金融機関の経営問題だが、今回の問題は水面下に潜むリスクに対する市場の警戒を呼び覚ますことになりそうだ。
ドル円も連動して下落と訂正します。
金にとっては良いことになります。