亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金は1740ドル台に上昇 ゼロ金利長期化と資産買取り額の明示

2020年06月11日 15時28分36秒 | 金市場
米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定内容が注目された6月10日のNY市場。現地時間午後2時に発表された声明文、メンバーによる経済見通し、そしてその後のパウエルFRB議長の記者会見の内容を受け、通常取引終了後の時間外取引に移行していた金は、8営業日ぶりとなる1747.90ドルで11日の時間外の取引を終了した。この日の金市場は、アジアからロンドンの時間帯を通し小動きながらプラス圏で推移。NYの通常取引に入ってからは、買いが先行する形で水準を切り上げ1730ドル台を超えるところまで上昇。ただし、その後はFOMCへの警戒感もあり売り優勢の流れに転じ、マイナス圏に落ち込むことに。そのまま横ばいで通常取引は前日比1.20ドル安の1720.70ドルで終了していた。その後前述のようにFOMCの決定を受けて上昇、高値は1749.40ドルまで見て、本日11日のアジア時間の取引に引き継がれた。

FOMCでは、少なくとも2022年末まで現在のゼロ金利政策を維持する方針が示された。量的緩和策の資産買い入れ目標も、これまでの「必要とされる量」から月1200憶ドル買い入れることが示された。具体的には、国債は月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)や政府機関債も同400億ドルを当面の目安とする。昨日、取り上げたように足元で1日あたり40憶ドルの国債を買い入れていることから、このペースを今後数カ月維持することが示された。政策方針を約束するフォワードガイダンスほどの強い印象はないものの、それに近いスタンスを示したものと思われる。

〇胸を撫でおろす金市場
金市場には、リーマンショック後の国際金融危機の混乱が一巡する中で、2013年春に量的緩和策の段階的縮小(テイパリング、tapering)観測の高まりから、一気に投資マネーが引き上げられ、急落状態に陥った経緯がある。株式市場も同様に急落し、時のFRB議長ベン・バーナンキにちなみバーナンキ・ショックやテイパータントラム(テイパリングによる混乱状態)と呼ばれた。そうした面で金市場には、テイパータントラム恐怖症とも呼べるものが残っている。FRBは3月から5月にかけて前代未聞の資金供給を行い、足元でそのペースを落としていた。危機対応型の資金供給は終わったとの判断で、ならばこのまま縮小を模索するのかというと、警戒はまだまだ解けない状況が今後1年以上は続くという見立てを今回示したことになる。今回の方針表明はテイパータントラムの後遺症に悩む(?)金市場に安心感をもたらしたと思われる。いずれにしても、今回のFOMCの決定内容は、金市場にとって押し上げ要因となりそうだ。節目の1750ドルどころは売りが控え、本日のアジア時間は押し戻された。本日11日のNYの時間帯に上抜けると思われるが、果たしてどうなるか。

今回のパウエルFRB議長の記者会見で印象的なのは、「不確実性」という言葉が何度も使われたこと。先行きの見通しを示すこと自体が、中央銀行とはいえ難しい環境にある。
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2 コメント

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Unknown (fairlane)
2020-06-11 19:12:07
オンラインセミナー 拝見しました 回線も安定してまして快適でした レジュメを見たときに、これは30分では収まるまい と思いましたが、収まりましたね 
今回はアメリカ経済限定の話でしたが、次回は金相場の話ですから、時間に収まらなくて後半が駆け足になるのがいつもですから、オンライン限定で時間制限無し 全部話す セミナーいかがでしょう? 亀井先生は脇道にそれた時の話が面白いです 
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ありがとうございます (KAMEI)
2020-06-14 09:29:02
Farelaneさん、PCのマイクを使ったので音声など気にかけていました。そう次回は金市場の話になりますが、90分では足りないですね。特に派生的な話をすると。脇道にそれる話は、自分の中でも“気づき”やウンチクのような類のものゆえ、興味を持ってもらえるのかもしれません。25日のZoomライブ中継は専門家に依頼しています。
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