亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

資金供給を静かに絞ってきたFRB、金市場はどう解釈する

2020年06月10日 21時44分35秒 | 金市場
サブプライムローン問題からリーマンショックに至る過程のように、この春は臨時のFOMCに加え、通常会合(FOMC)の前倒し開催などアトランダムな会合が続いたので、認識が薄いが、今回のFOMCは四半期に1度政策金利や経済見通しを発表する節目の会合となる。

新型コロナへの緊急対応により平時モードから放れた米連邦準備理事会(FRB)だが、先週末の雇用統計の結果などを受けてどういった見解を示すか。5月27日に発表された今回会合の基礎資料となる地区連銀経済報告書(ベージュブック)では、経済活動が「大半の地区で急激に収縮した」とした。その後、すべての州で外出制限など規制解除が進んでおり、現状分析を含め見通しをどのように示すのか。パウエル議長の記者会見と質疑応答が開かれるが、前回のFOMC以降、株高が大幅に進み市場がセンシティブになっているだけに、内容によっては急な値動きにつながる可能性もある。もちろんそのあたりは、当局も十分承知しており、市場予想に沿った無難な内容になるということか。それとも何か示唆する表現を使い、かつてよくあったパターンに戻るのか。このケースは市場がFRB側が意図せぬ解釈をすることで、過剰反応ということもある。

金市場からの視点で書くならば、前代未聞の拡大(ドルのばら撒き)となったFRBのこのところバランスシート(資産)の推移だが、5月中旬以降は増加ピッチが急速に落ちていることに注目している。地区連銀の筆頭行、NY連銀が買い入れ予定を公表する。4月1週目には日額400憶ドルの買い入れペースが、今週は同40憶ドルに激減している。事態が鎮静化したことを受けて単に緊急避難モードから平常モードへのシフトと思われるが、変化の方向性を重視するいわば“ベクトル思考”の市場からすれば、(比較の問題ではあるが)過度のばら撒きモードは終息に向かっているとの解釈となろう。金市場は、その過度のばら撒きモードに反応して上げてきた経緯がある。先週後半から金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」に小口ながら連日解約の動きが見られており、こうしたFRBの動きとの連動性の有無を注視している。

合理的判断をするならば、この局面で市場に波乱を与えることは考えにくい。実際に1930年代の大恐慌時には早すぎた引き締めが、その後の落ち込みを大きくした学習効果もある。その過ちは繰り返さないのは言うまでもない。

昨日まで2日間この場での直前告知のZoomオンラインセミナー、参加申し込みいただいた方々、ありがとうございました。30分短縮バージョンですが、今夜のFOMCなども、もちろん取り上げます。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金は反発1700ドル台回復... | トップ | NY金は1740ドル台に上... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事