サブプライムローン問題からリーマンショックに至る過程のように、この春は臨時のFOMCに加え、通常会合(FOMC)の前倒し開催などアトランダムな会合が続いたので、認識が薄いが、今回のFOMCは四半期に1度政策金利や経済見通しを発表する節目の会合となる。
新型コロナへの緊急対応により平時モードから放れた米連邦準備理事会(FRB)だが、先週末の雇用統計の結果などを受けてどういった見解を示すか。5月27日に発表された今回会合の基礎資料となる地区連銀経済報告書(ベージュブック)では、経済活動が「大半の地区で急激に収縮した」とした。その後、すべての州で外出制限など規制解除が進んでおり、現状分析を含め見通しをどのように示すのか。パウエル議長の記者会見と質疑応答が開かれるが、前回のFOMC以降、株高が大幅に進み市場がセンシティブになっているだけに、内容によっては急な値動きにつながる可能性もある。もちろんそのあたりは、当局も十分承知しており、市場予想に沿った無難な内容になるということか。それとも何か示唆する表現を使い、かつてよくあったパターンに戻るのか。このケースは市場がFRB側が意図せぬ解釈をすることで、過剰反応ということもある。
金市場からの視点で書くならば、前代未聞の拡大(ドルのばら撒き)となったFRBのこのところバランスシート(資産)の推移だが、5月中旬以降は増加ピッチが急速に落ちていることに注目している。地区連銀の筆頭行、NY連銀が買い入れ予定を公表する。4月1週目には日額400憶ドルの買い入れペースが、今週は同40憶ドルに激減している。事態が鎮静化したことを受けて単に緊急避難モードから平常モードへのシフトと思われるが、変化の方向性を重視するいわば“ベクトル思考”の市場からすれば、(比較の問題ではあるが)過度のばら撒きモードは終息に向かっているとの解釈となろう。金市場は、その過度のばら撒きモードに反応して上げてきた経緯がある。先週後半から金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」に小口ながら連日解約の動きが見られており、こうしたFRBの動きとの連動性の有無を注視している。
合理的判断をするならば、この局面で市場に波乱を与えることは考えにくい。実際に1930年代の大恐慌時には早すぎた引き締めが、その後の落ち込みを大きくした学習効果もある。その過ちは繰り返さないのは言うまでもない。
昨日まで2日間この場での直前告知のZoomオンラインセミナー、参加申し込みいただいた方々、ありがとうございました。30分短縮バージョンですが、今夜のFOMCなども、もちろん取り上げます。
新型コロナへの緊急対応により平時モードから放れた米連邦準備理事会(FRB)だが、先週末の雇用統計の結果などを受けてどういった見解を示すか。5月27日に発表された今回会合の基礎資料となる地区連銀経済報告書(ベージュブック)では、経済活動が「大半の地区で急激に収縮した」とした。その後、すべての州で外出制限など規制解除が進んでおり、現状分析を含め見通しをどのように示すのか。パウエル議長の記者会見と質疑応答が開かれるが、前回のFOMC以降、株高が大幅に進み市場がセンシティブになっているだけに、内容によっては急な値動きにつながる可能性もある。もちろんそのあたりは、当局も十分承知しており、市場予想に沿った無難な内容になるということか。それとも何か示唆する表現を使い、かつてよくあったパターンに戻るのか。このケースは市場がFRB側が意図せぬ解釈をすることで、過剰反応ということもある。
金市場からの視点で書くならば、前代未聞の拡大(ドルのばら撒き)となったFRBのこのところバランスシート(資産)の推移だが、5月中旬以降は増加ピッチが急速に落ちていることに注目している。地区連銀の筆頭行、NY連銀が買い入れ予定を公表する。4月1週目には日額400憶ドルの買い入れペースが、今週は同40憶ドルに激減している。事態が鎮静化したことを受けて単に緊急避難モードから平常モードへのシフトと思われるが、変化の方向性を重視するいわば“ベクトル思考”の市場からすれば、(比較の問題ではあるが)過度のばら撒きモードは終息に向かっているとの解釈となろう。金市場は、その過度のばら撒きモードに反応して上げてきた経緯がある。先週後半から金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」に小口ながら連日解約の動きが見られており、こうしたFRBの動きとの連動性の有無を注視している。
合理的判断をするならば、この局面で市場に波乱を与えることは考えにくい。実際に1930年代の大恐慌時には早すぎた引き締めが、その後の落ち込みを大きくした学習効果もある。その過ちは繰り返さないのは言うまでもない。
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