亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

まとまったような気がする・・・・EUサミット

2011年12月12日 22時19分09秒 | 金融市場の話題

さて報道に詳しいが、EUサミットでの英国抜き合意内容は、財政規律の強化を目指すために協定違反国への自動制裁措置を盛り込んだ他、以前から計画されていた欧州版IMF(国際通貨基金)に相当する財政危機安全網の「欧州安定メカニズム(ESM)」の設立を前倒しし20127月迄に設立すること。同時に欧州各国を中心にIMFに(出資でなく中央銀行が)融資をして、2000億ユーロの新たな財政安全網をつくることなどが盛り込まれた。現在のEFSF(欧州安定化基金)は当面、存続さ並存させる方針とされる。ただし、IMF利用論については、ユーロ圏外からは異論もあり一枚岩ではない。

 

こうした合意事項に対し市場の反応は、ひとことで表現して「道筋は示したが、解決したわけではない」というもの。マネーの反乱とも表現できるイタリア国債の急落など市場の不安心理による金融の混乱という足元の問題に対し、中長期の「(ペナルティを課すほど真剣な)財政赤字削減=信頼の回復⇒国債に対する信用回復」という方針を示すことで対応できるのか否か?という疑問がある。安心させるには、用意する安全網では金額的に不十分という見方が根強い。そこで期待されたのが、無制限に通貨を発行できる欧州中央銀行(ECB)の関与だが、国債の買い支え拡大の部分は前日のECB理事会後のドラギ総裁の記者会見で否定されており、いつまた危機再燃かという不安心理は残ることになった。

 

結局、いつものように合意は出来上がって前に進むイメージではあるのだが、表現は難しいが“何回やってもスッキリ感が出てこない”。今回も“まとまったような感じ”ではあるが、“賞味期限” は短いようだ。すでに今夜の欧州株は弱含みで推移中。1017日の当欄で「『見せ金』が必要」とのタイトルで書いたのだが、圧倒的な規模の資金を用意して必要あらば介入という方針を示すことで、まずは鎮静化が必要ではないかと思われる。踏み込んだ対応策を取らないまま実際に混乱拡大を招いたとすると、その段階で投下せざるを得なくなるコストより、現時点で投下するコストのほうが安上がりでかつ効果も上がるということではないか。また平時の正論も、今のような有事では必ずしも正論にあらずということも言えるのではないか。

 

ところで先週末9日金曜日は更新できなかったが、夕刻ラジオ日経の17時30分からの生番組「マーケット・トレンド」出演だった。いまやラジオは、ネットで聴ける時代。以下のURLにてサイトに飛び、右側にあるオンデマンドの中の12月9日の放送をクリックするといつでも聴くことができる。

 

http://blog.radionikkei.jp/trend/

 

それと以下の書籍が先週店頭に並び好評発売中(こうれから好評になるハズ、ハハハ)。豊島さんとの対談で、話し言葉ゆえに軽く読んでもらえると思いますが・・・。宝島社、税込1400円。

 

偶然にも時同じくしてスタンダードの池水さんの本(ダイヤモンド社)も発売になったが、「金投資の本」というタイトル。こっちは税込1680円。我らの方が安いぞ(ハハハ)。

 

ところで今来週開催の自前のセミナーに多くの申し込み感謝です。14日(水)の夜の部は満席で申し込み打ち切りとなっています。19日(月)昼の部は余裕があります。なお14日申し込みしていただいたもののキャンセルの場合は、連絡をお願いします。それと申し込みせず当日直接お見えになられても事前申し込み者優先となります。悪しからず。

 


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