前日のトランプ記者会見に対する失望感というかその会見スタンスが予見させる政権運営に対する懸念が12日の市場でも尾を引くことになった。とくにCNNの記者に対する高圧的な対応は、米系メディアを中心に批判が噴出することになった。自分の意に沿わない論調には聞く耳を持たないという印象を与えてしまうことで、政権スタート後のメディア対応は難しく・・・・と言うか、報道官は苦労しそうだ。首席戦略官・上級顧問なる新設ポストに座ったスティーブン・バノンが、広報を担当するとみられているので、かなり右派系のスタンスとされる人物が、どのような方針を策定してくるか見ものと思う。
さて、1200ドルを突破して1207.20まで上値をみたものの押し戻された金価格。さすがに1200ドル超では、1190ドル超では実需の買いも見られずファンドの動き次第という展開。このところの金価格もドル相場も米長期金利(10年債の利回り)の動きに沿って動いている。
ここまでの経過を挙げるならば、金価格が直近の安値(昨年2月2日以来の安値)を記録したのが先月のFOMC(連邦公開市場委員会)の翌日の12月15日だった。ザラバ(取引時間中)の安値が1124.30ドル、終値が1129.80ドルだった。現時点でここ底にして反転上昇となっている。
ちょうどこの日に、米長期金利は2.64%を記録したが、その日がいわゆる金利版“トランプ・ラリー”のピークだった。ドル円相場もこの日の118.66円が直近のピークとなっている。
この日を境に、金は反発し、米長期金利は反落、ドル円も反落となったが、ドル指数だけは年明けの1月3日まで上昇し(2002年12月以来14年ぶりの高値103.82)、ややズレが出ていた。
そのドル指数の長期金利とのかい離も、12日には解消されることになった。この解消にともなって、金価格は1200ドル大台に復帰という流れとなっている。
12日は、複数の地区連銀の総裁が、いろいろしゃべったようだが、2017年の利上げ回数の見通しも異なっており、まとまりがない。ただ、今年、政策金利が1%台に乗せれば、バランス・シートの縮小、つまり保有する国債を減らすという次のステップに移行という意見も出ており、ますます目が離せなくなってきた。いまは償還分(保有分で満期を迎えたもの)を再投資しているが、それを止めるところから始まるが、それですら非常に慎重を期しながら実行ということになるが。果たして、年内にそこまでできるか。
本格的な縮小着手は、FRB自体が米国債を売ることを意味するので、これはよほど環境が良くならないと無理。やれば自殺行為。
さて、今夜は米12月の小売売上高の発表にイエレン議長の発言。