本日の午後は、都内丸の内にて貴金属販売実務者を対象とした研修会講師で外出。以下、今朝の市況解説を転載しておきます。
11月27日のNY市場の金価格は続落となった。前週末の急騰に対する利益確定の売りが断続的に続く中でNY市場の通常取引開始以降は、時間の経過とともに静かに下げが続く展開となった。NYコメックスの先物価格は前日比7.30ドル安の1742.30ドルで取引を終了した。終値ベースで50日移動平均線(1741ドル台)は、かろうじて維持。
昨日取り上げたが難航していたギリシャ支援策は、12時間を超える討議の結果なんとか決定を見ることになった。金価格は、このニュースが伝えられた当座はNY時間外の取引で1750ドル超まで買い上げられたものの、その後は押し戻されることに。むしろ経済協力開発機構(OECD)が世界の経済成長見通しを下方修正し、ユーロ圏のGDP伸び率については今年がマイナス0.4%、さらに来年もマイナス成長を見込むとしたことから、ユーロ安ドル高の中で、金市場では益出しの売りが出ることになった。
さらに米国で話し合いが再開された「財政の崖」問題だが、民主党のリード上院院内総務の回避に向けた協議が進んでないことに「失望」しているとの話が伝わる状況の中で、米国債への資金逃避も見られている。実際に27日に入札が実施された2年物国債は、応札倍率が4.07倍と、2011年11月に記録した過去最高に並んだ。意味するのは、2年債に対する需要が過去最高ということであり、市場の警戒感(資金逃避)の表れでもある。金市場ではさみだれ的な売りが続き、米国債が買われた。
金をリスク資産として見るか、リスク回避の手段となる資産と見るかは、個々の捉え方や、時々の市場環境によりそのウエイトは変化している。価格が下がった27日だが、目立たないが金ETFの最大銘柄「SPDRゴールド・シェア」は残高を3.61トン増やし1345.81トンと過去最高を更新している。現物保有者は静かに持ち分を増やし、先物市場ではファンドが益出しに動いている構図といえる。価格の目先の方向性はNYコメックスの売買動向に左右され下げたが、現物保有の裾野は静かに広がっている。この点が非常に重要と思う。