亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「ファンドの売りに続落もETFは過去最高残更新」

2012年11月28日 10時48分02秒 | 金市場

本日の午後は、都内丸の内にて貴金属販売実務者を対象とした研修会講師で外出。以下、今朝の市況解説を転載しておきます。


11月27日のNY市場の金価格は続落となった。前週末の急騰に対する利益確定の売りが断続的に続く中でNY市場の通常取引開始以降は、時間の経過とともに静かに下げが続く展開となった。NYコメックスの先物価格は前日比7.30ドル安の1742.30ドルで取引を終了した。終値ベースで50日移動平均線(1741ドル台)は、かろうじて維持。

昨日取り上げたが難航していたギリシャ支援策は、12時間を超える討議の結果なんとか決定を見ることになった。金価格は、このニュースが伝えられた当座はNY時間外の取引で1750ドル超まで買い上げられたものの、その後は押し戻されることに。むしろ経済協力開発機構(OECD)が世界の経済成長見通しを下方修正し、ユーロ圏のGDP伸び率については今年がマイナス0.4%、さらに来年もマイナス成長を見込むとしたことから、ユーロ安ドル高の中で、金市場では益出しの売りが出ることになった。

さらに米国で話し合いが再開された「財政の崖」問題だが、民主党のリード上院院内総務の回避に向けた協議が進んでないことに「失望」しているとの話が伝わる状況の中で、米国債への資金逃避も見られている。実際に27日に入札が実施された2年物国債は、応札倍率が4.07倍と、2011年11月に記録した過去最高に並んだ。意味するのは、2年債に対する需要が過去最高ということであり、市場の警戒感(資金逃避)の表れでもある。金市場ではさみだれ的な売りが続き、米国債が買われた。

金をリスク資産として見るか、リスク回避の手段となる資産と見るかは、個々の捉え方や、時々の市場環境によりそのウエイトは変化している。価格が下がった27日だが、目立たないが金ETFの最大銘柄「SPDRゴールド・シェア」は残高を3.61トン増やし1345.81トンと過去最高を更新している。現物保有者は静かに持ち分を増やし、先物市場ではファンドが益出しに動いている構図といえる。価格の目先の方向性はNYコメックスの売買動向に左右され下げたが、現物保有の裾野は静かに広がっている。この点が非常に重要と思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« どちらに転んでも | トップ | 「久々のフラッシュ・クラッ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事