亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

どちらに転んでも

2012年11月27日 20時08分48秒 | 金融市場の話題
感謝祭の休みも通過しクリスマス休暇も迫るなかで、いよいよ「財政の崖」問題の期限を意識せざるを得ないタイミングがやってくる。国民の監視の下で各方面への悪影響を認識するオバマ政権と野党共和党は、早期解決を確認済みではある。どちらも悪者にはなりたくはない。しかし、景気回復にダメージを与えず「均衡のとれた赤字削減」を達成するための各論で意見の相違は依然として大きい。

最大の争点は、富裕層への減税廃止すなわち増税の有無だが、オバマサイドは妥協はできない。共和党サイドは、富裕層減税継続のための対案として所得控除を制限することで税収をあげることを提案しているようだ。富裕層減税の延長を仮に数で勝る共和党が下院で決めた場合、ホワイトハウスは拒否権を発動する見通しとされる。現状は膠着状態といえる。

それでも株式市場はじめ市場全般は、妥協がなされることを前提に動いている。国益を考えるならば、溝の深い民主・共和とはいえ合意に達するだろうという性善説に基づいた判断といえる。仮にその見通しが正しく合意に達したとしても、政策的には現状維持であり新たな成長刺激策が取られるわけではない。期待できるのは、不透明要因が払しょくされたことによる心理的効果だろう。センチメントの好転で株価の急騰は期待できそうだ。ちょうど感謝祭が明け、消費に弾みがつくタイミングだけに資産効果も期待できるだろう。設備投資などに消極姿勢を取ってきた企業家マインドにも変化をもたらすことも考えられる。ただし、一方で財政赤字の削減目標を棚上げすることで、赤字は膨らむことになる。あるいは歳入のバランスを保とうとするならば、別の部門の実質増税ということになるので悪影響の転嫁となる。それがうまく行かないと当座の痛みは薄れるが、先送りでその間に景気回復が加速し税収増を願うことになるのだろう。直ぐに債務の上限問題に関心は移行する。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 一足早く動きが | トップ | 「ファンドの売りに続落もETF... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金融市場の話題」カテゴリの最新記事