亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

過去最高値に肉薄したNY金、次の手掛かり材料待ち

2023年05月09日 21時01分10秒 | 金市場

5月も第2週に入る中で初の更新。連休中は海外とりわけNYの動向を和歌山にてチェックしていた。

 

先週は連邦準備理事会(FRB)が3日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)にて、市場の予想通り0.25%の利上げを実施。10会合連続の利上げで政策金利は5.25~5.50%と、いわゆるリーマン前の2007年以来の水準まで引き上げられた。

FRBはFOMC声明文とパウエル議長の記者会見での発言にて、今後の利上げ打ち止めの可能性を示唆した。ただし一方で、総合的なインフレは鈍化しているものの、コア指数の中でいまだ上昇基調を維持しているものもあり粘着型のインフレの持続があること。さらに前月比での就業者増加数や歴史的低水準の失業率など労働市場が好調を維持していることから、6月の利上げ継続には含みを残した。

FRBがいよいよ利上げサイクルの終了を示したことを受けNY金は、3日の時間外で一時2050ドルまで見て2048.80ドルでこの日の時間外取引は終了。そのまま1時間後に始まるアジアの取引に引き継がれた。

4日アジア時間の寄りは2054.70ドル。その後、取引の薄いアジア時間にファンドのショートカバー(売り建ての買戻し)が入ったとみられるが、ややまとまった買いに値が飛んだ。この時の価格が2085.40ドル。22年3月のザラバ(取引時間中の)高値を上抜き、20年8月7日の2089.20ドルに3.80ドルまで迫るところまで上値を伸ばすことに。ただし、その後は利益確定売りを消化する流れに転じることになった。

早々の急伸はモメンタムを失わせ、ロンドンの午前の時間帯さらにNYの午前の時間帯に2040ドル割れを見ることに。しかし、押し目買いも根強くNY時間の終盤は2060ドル半ばまで値を戻し、通常取引は2055.70ドルで終了した。これは終値ベース過去最高値の20年8月6日の2069.40ドルに次ぐ水準となるもの。つまり5月4日はザラバ、終値ともに過去2番目の水準を付ける日ということに。

 

翌5日はこれで何度目だろうか、予想以上に好調な雇用尾計の結果にNY金は値動きが拡大、荒れた展開の中で4営業日ぶりの反落となった。通常取引は前日比30.90ドル安の2024.80ドルで終了ということに。

注目の4月米雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門の雇用者数(NFP)が前月比25万3000人増と、市場予想(18万人増、ロイター)を大幅に上回った。失業率は3.4%と前月(3.5%)から低下した。米銀破綻の影響により景気が冷え込むとの過度な警戒が薄れ、投資家がリスク回避姿勢を緩め、金市場では売りが膨らんだ。

先に取り上げたが3日のFOMC後の記者会見にてパウエルFRB議長が、6月の次回会合での利上げ継続に含みを持たせていたことが伏線になり、堅調維持する雇用統計への反応が大きくなった。 雇用統計では、4月の時間当たり平均賃金は前月比0.5%上昇。3月(0.3%上昇)から伸びが加速していた。前年比では4.4%上昇。3月は4.3%上昇だった。賃金の伸びは続いており、FRBが2%としているインフレ目標に合致していないとみられ、これらデータは確かに追加利上げを正当化するものといえる。

ただしポイントは雇用統計は遅行性のあるデータとされること。

銀行経営不安の景気への影響やここまでの利上げ効果の波及がこれから顕在化する可能性がある。一方で、そう言われながら半年以上経過しているのも事実で、2月には一時ソフトランディング(経済の軟着陸)ならぬ一定の好景気が続く「ノーランディング(飛び続ける)」観測まで浮上した経緯がある。 5日は前日の急伸に対する反動もありNY金は一時2007ドルまで下値を見ることに。ただしNY時間の午前10時過ぎに売りが一巡すると買い戻され、以降2020ドル半ばでの取引が続きそのまま終了した。

週明け8日の市場は、自律反発的な値動きの中で2033.20ドルで終了ということに。2000ドル前半の水準を維持し、次の手掛かり材料待ちという流れが続いている。

なお5月7日の日曜日に中国国家外為管理局が発表したデータによると、中国人民銀行は4月に金保有を約8トン増やした。3月までの5カ月間に約120トン増加し、さらに追加。総保有量は2076トンに達している。

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