亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

サンクス・ギビング休暇前の攻防

2018年11月20日 23時33分00秒 | 金融市場の話題
今週は言わずと知れたサンクス・ギビング休暇週。22日が休みで実質明日の午後辺りから休みという市場参加者も多く、そのまま連休という形が多い。そんな週の早々にハイテク株を中心に米国株が大きく下げ、市場センチメントは急収縮。リスク回避姿勢が高まり米国債も買われ長期金利のみならずFRBの利上げ見通しに敏感に反応する2年債金利も急低下。10年債の利回りは6営業日続落となった(つまり、価格は6日続伸)。ドルは売られやすくなる。

広く報じられたように、18日に閉幕したAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が、米国と中国の対立を背景に発足後初めて首脳宣言の採択が見送られた。米国株式市場もこれを悪材料視し、売り優勢の市場環境に転じることになった。今月末の20ヵ国・地域(G20)首脳会議の機会を利用して開かれる米中首脳会談だが、双方ともに妥協の余地は少なく、したがってここに来て米中の和解観測が後退している。内部要因からは、ハイテク銘柄群の高値更新の中心銘柄となっていたアップル株の下げがこの日も止まらず、弱気見通しは市場全体に広がりナスダック総合株指数は219ポイント、3%超の値下がりに。ダウなど他の指標も下げ幅が拡大した。日本時間の今夜の、つまりNY市場早朝の、株価先物でダウは200ドルほどの値下がりとなっている。株式市場は、休日入り前に利食っておこうということか。

アップル株については、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、9月に発売したばかりの新型iPhone 3種類の生産をここ数週間で減らしていると報じたことが嫌気され、部品など同社関連銘柄も大きく売られた。アップルは10月3日に過去最高値を記録(終値ベース)しており、そこから19.9%もの値下がりとなる。直近の高値から20%超の値下がりとなると、「弱気相場入り」となり、感覚としては“ひと相場終わった”という印象が強まる。果たしてどうなるか。

8月に承認されたばかりの新任のクラリダFRB副議長は、今後の金融政策策定の中心人物と目される人物。エコノミストの中では、この人が副議長に座ったことを歓迎する向きが多いとされる。ところが、その本人から慎重見通しが発せられた影響は大きかったと思われる。一連の発言を、FRBによる利上げ打ち止め時期の前倒しと受けとめる動きがすでに見られ、金利先物から見る市場の利上げ見通しは、ここに来て下がりつつある。「今年は12月に1回、来年は3回」という、見通しに対する疑問が膨らみつつある。

流れとしては、金市場にじわじわとフォローの風が吹き始めているということになる。それでもCFTCのデータでは、ファンドが再びネット・ショートに転じたことが明らかになった。意味するのは、11月8日以降4営業日続落で一時1200ドル割れを見たのは、ファンドがショートを膨らませたということ。ドルが独歩高を演じたタイミングでのこと。この新規のポジションは、その後の展開から見るに、失敗に終わったのではないかと思う。

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