FOMCの結果を受けたNY金の急反発は、売りに傾いたファンドの買戻しが原動力。いわゆるショート・カバー・ラリー。実際に米政府機関のCFTC(商品先物取引委員会)のデータ(オプション取引を除く)では、3月7日までの1週間で(つまり3月に入って以降)金先物のファンドのポジション(持ち高)は、重量換算にして買い建て(ロング)が54.5㌧減少、売り建て(ショート)が39.2㌧の増加となっていた。
つまり3月に入って1週間で先物市場であるNYコメックスでは、ネットで93.7㌧の売りが出たことを意味する。9営業日連続安の背景がこれということになる。ショートだけをみると7日時点で300トンの売り残があった。その後FOMC結果発表前日の14日までに、さらに膨らんでいたとみられる。このデータは、日本時間18日早朝に発表されるので、カバー(買戻し)のエネルギーがどの程度残っているかという類推の手掛かりとなりそうだ。
さてトランプ政権は予算案の概略を議会に送ったが、多くが議会サイドで修正されることが予想されているようだ。株式市場を中心に期待が膨らんでいた減税策の内容は、盛り込まれず、「2~3週間のうちに驚くべき税に関する発表」は、反故にされたかたちになった。しかし、株式市場は無風状態でこれを無視。今回の予算教書とも言えない概略には、実際のところ、そもそも期待していなかったということか。
本日からドイツの南西部フランス国境に近いバーデン・バーデン(Baden-Baden)で開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議。先行して始まっていた事務レベルの事前折衝では、アメリカがかなりごねているようで、これまでの「あらゆる形態の保護主義に反対する」という文言を削除や、為替の過度の変動に対する文言なども削除対象になっているとの報道がある。そもそも自由貿易を標榜してきたアメリカが新政権下で方針を変えていることが背景だが、どうなるか。時代は大きく変わり、「アメリカ第一主義」という内側に受けのいい表現で「保護貿易」を推し進めようとしているのが他ならぬアメリカということに。
G20財務相・中央銀行総裁会議もこのところ、大きな関心を払われずに通過するイベントとなっていたが、今回は違う。声明文の内容次第では、市場の材料となりそうだ。