FOMCの決定に沿って11月12日から国債の買取りを始めたFRBだが、今週発表されたFRBの週間統計で国債の保有残高9496億ドルとなった。前週から322億ドル増。コンスタントに買い付けているということ。にもかかわらず国債は下げ金利は急騰したことになる。しかし、改めて気付いたのは、今回の買取りプログラムが始まる前の段階でFRBの米国債保有高は人民銀行や日銀とほぼ同じだったという事実。後者2行は外貨準備として保有しているのだが。
今回のQEⅡの買取りとしてはここまで1063億ドルとなっているようだ。これにプラスしてMBS(住宅ローン担保証券)の償還分での買取りがある。こちらは758億ドル。いずれにしても予定通り買取りはタンタンと進められている。その結果、FRBのバランスシートは、過去最高の2兆3900億ドルに膨らんだ。
そもそもFRBが国債を買取ることで期待されているのは、長期金利の下落に加え、FRBが買取ることで他の投資家は株などの購入に回り株価は上がり、資産効果から消費が増え、景気は回復傾向を強め、雇用はプラスに・・・・・・・という循環が机の上で考えられている理屈。減税延長合意以来、その金利は上げ足を鮮明にし、株価は確かにQEⅡをにおわせた9月上旬以降上がって来た。
長期金利の急騰は一時的なのか景気回復を示す持続性のあるものなのかは、足元での判断は難しい。ただし10年金利の状況は住宅ローン金利に影響を与えるため、そちらの金利が上がってしまうことが問題視されている。これは本日の日経夕刊でも取り上げられていた。
長期金利の低下で企業の借り入れを刺激するのかという点では、FRBの調べでは米企業の9月末時点のキャッシュ(および類似資産)保有額は1兆9300億ドルと6月末から1300億ドル増えていると伝えられている。過去50年で最高水準なのだそうな。これでは借入の必要はない。こうした傾向は日本国内の大手企業にも共通する。いわゆるキャッシュ・リッチと呼ばれるもの。ならば中小企業はどうなのかといえば、不良債権を抱えた地銀に貸し出しの余力が乏しく資金が目詰まり状態で金利低下の恩恵は至っていなかったということのよう。
効果が見えないなら、規模を拡大するというのが方針とされる。