亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金大幅安、「先高観のひび割れ」に注目

2024年11月07日 19時38分53秒 | 金市場

米大統領選挙でトランプ前大統領の復活が決まったこと、さらに大方の予想を覆す形で早期に決着がついたことで市場横断的にに反動的な動きが出た。

10月中旬以降高まっていた米長期金利の上昇とドル高に象徴されるトランプトレードが、選挙直前の世論調査にて両候補の支持率拮抗が伝えられる中で、いったん巻き戻されたものの、結果を受け倍返し的な動きを見せている。

 

こうした中で6日のNY金は大幅反落となった。NYコメックスの通常取引は、前日比73.40ドル安の2676.30ドルで終了した。10月中旬以来、約3週間半ぶりの安値水準で1日の下げ率(2.67%)としては、6月上旬以来の大きさとなる。

この日の金市場はNY時間外のアジア時間に伝えられた開票速報でトランプ候補優勢と見た一部のファンドが為替市場でドル買いを強め、その後米長期金利の上昇も加わったことでNY金は遅れて売り優勢に転じていた。NY早朝からその動きは本格化し、通常取引入り後に2700ドルの節目を割れるとさらに売りを巻き込み抵抗なく下値追いに転じた。そのまま一時2660.70ドルまで付け売りは一巡したが、戻りに勢いはなく終盤に向けて2670ドル台を横ばいで推移しそのまま終了した。

 

ちなみに昨日ここに「今週のNY金については2700ドル割れから2800ドル超まで中心レート100ドルの範囲の振れを読んでいた」と書いたが、5日の午前中にマネックス証券のコラムに買いたものだった。「米大統領選 NY金は上下100ドルのレンジを想定」

 

10月中旬以降NY金は大統領選の結果を巡る米国政治リスクの高まりに対するヘッジ(備え)として逃避資金の受け皿となり、上値を追ってきた。米長期金利とドルの上昇という、いわば金市場にとって逆風の中でのことだった。金ETF(上場投信)は残高を増やし、先物市場では短期筋の買い建ては4年ぶりの規模まで膨らんでいた。

その中で迎えた大統領選挙の結果は、想定外のトランプ候補の地滑り的勝利となり早々に当選確実の報。さらに同時に実施された議会選挙では共和党が上院を押さえ、下院でも優勢が伝えられるに至り、分断による政治空白の発生の懸念は大きく後退した。

ロングポジション(買い建て)構築の前提が崩れたファンドの売り転換に、拍車を掛けたのは4カ月ぶりの高水準となる4.5%に迫る10年債利回りと105ポイント台半ばのドル指数(DXY)の急騰だった。

 

もともと米大統領選挙という一大イベントを経た後の金市場の動きは(記録的なロングを抱えるがゆえに)材料出尽くし的な動きになるのか、政治混乱を手掛かりとして上値追いとなるのか両方向で注目して来た。結果的には、前者の調整局面入りとなった。

ポイントはここまで異例の先高感の中で、下げ局面ではすぐに買いが入り反発力の強さを見せて来た金市場に変化が現れるか否かということ。今後の展開次第で先高観がひび割れる状況(センチメントの変化)に至ると、夏場以降の上昇トレンドは一服ということになりそうだ。

 

こうした中で日本時間の明朝に連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が発表される。政治環境の変化の中で、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言が注目される。

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