亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

政治リスクに翻弄される市場

2018年03月28日 17時18分11秒 | 金市場
NY金は27日は5営業日ぶりの反落でコメックスの清算値終値は13ドル安の1342.00ドル。本日アジア時間の寄りは1345.00ドルで直ぐに1346.40ドルまで見たものの、アジアの午後からロンドンの早朝にかけて売り優勢で日本時間夕刻5時の時点では1339ドル前後での推移に。27日のNYの市況については、海外通信社は米中貿易摩擦について、すでに米中間の話し合いが始まったとのWSJ(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)の前日の報道を受け市場の警戒感は後退、ドルも上昇し、金は売られたとしていた。

金が売られているのは単に利益確定の売りで、連邦公開市場委員会(FOMC)前の安値(1306.60ドル)から5営業日で最大振幅で50.2ドル、3.8%の上昇となったことから、益出しが出ているものと思われる。週末は、イースター(復活祭)で連休に入ることもあり、いわゆるポジション調整ということか。

そもそもドルはそれほど上がっておらず、ドルインデックス(DXY)は、89ポイント台の前半に位置しており、27日の欧州時間にフィンランド中銀の総裁がECBの政策につてハト派的な発言をし、その際に少し上がった程度。金売りの材料というほどドルは強くはなかった。

通商問題は、ウィルバー・ロス米商務長官が、中国を念頭に「海外からの投資に制限が設けられるだろう」と発言。他の関係者の話として「中国からの投資を抜本的に制限する選択肢として、国際緊急経済権限法の発動を検討している」というのもあった。国際緊急経済権限法?おそらく安全保障上から、かかる技術を持つ企業の買収(M&A)などは拒否するというものだろう。

いずれにしても、トランプ政権は秋の中間選挙を念頭に、中長期的な視点も盛り込みながら、いろいろ打ち出してくるので、“摩擦”は新たなものを含めむしろ高まりそうだ。その面で、引き続き金融市場は政治リスクに翻弄されることになる。北京を訪ねたのは、金正恩ということらしいが、当事者間での駆け引きがいろいろ始まっている。3月以降の東アジア情勢の流れの変化が、これからいくつかの屈折点を経るたびに、市場も影響を受けそうだ。


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