亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

グリーンスパン議長、住宅金融に寄りかかる個人の消費動向に懸念

2005年09月27日 19時07分27秒 | 金融市場の話題
(19;00)本日は午後14時40分からBloomberg TVで生だった。テーマは最近の金市場の分析。とりわけここに来て欧米で強気のレポートが相次いでいる背景の説明と、それに対する意見。加えて国内の投資家動向という構成だった。金市場はやはりシートベルトが必要だった。ここ一両日の高値から17ドル安、そして安値から9ドル戻るという乱高下。いわゆるローラー・コースター相場となった。番組でも話したが、ここまでマクロ的観点から原油に連動しなかった金価格だが、ハリケーン以降の米国でガソリンなど製品価格の急騰からインフレ懸念が材料性を帯びるにつれ、連動性を高めている。これが一過性なのか否かは、もう少し見極めが必要だが、米国内のガソリン小売は価格ガロン当り2.8ドルは3年間で2倍の上昇でという。一部では3ドル乗せも見られる現状は、冬場の暖房油、天然ガスなどの需要を考えると、「インフレ」の見通しが高まるのは否めない。

急騰後の金価格の調整が軽微なものになるとすれば、FED(米中銀)が利上げを繰り返してもインフレを考慮した実質金利が上昇しないことに、その原因を求めることもできる。

土曜日に、今週後半には中銀の売りが出るやも知れぬ、としたが、昨日HSBC(香港上海)が出したレポートは、中銀の売りが増えて需給を崩すことで年内の金の平均値は436ドルという内容という。またロイターも本日同様の内容を取り上げていた。8、9月と売りは出ていなかったと見られるので、多少に影響はありそうだ。ただ以前書いたが、中銀が売ってくれるからこそ、安く買えるのである。

昨夜、驚いたのは、8月の米中古住宅販売のデータだった。

このところ住宅ローン金利が上昇傾向にあるため、減少が予想されていたが、蓋を開けてみれば2%増、年率換算で729万戸は過去2番目の数値。販売価格の中間値も22万ドルとなり、過去1年で15.8%の上昇となった。ちなみにこの上昇率は、「1979年7月の17.29%以来のもの(ウォール・ストリート・ジャーナル9月26日)」という。同紙は、ここにきて上昇傾向を見せているローン金利が、潜在的購入希望者を刺激し購入に踏み切らせた結果ではないかとの分析を紹介している。確かにそれは言えそうだ。しかし、奥が深いというか、次々と購入者が出てくる構造は、やはりファイナンスのし易さが後押ししているのだろう。

この件に関連するが、昨夜カリフォリニアのコンファレンスに衛星参加したグリーンスパン議長の講演が注目された。自身が主導した調査の結果を踏まえながら述べたのは、米国消費者の過度に住宅関連ローンに頼った出費についての警告だった。ローン金利の上昇は、消費後退の引き金を引くとの指摘をしたとされる。2004年だけでも住宅関連で引き出した資金で消費に加わった金額は6千億ドルにもなるとしている。これは個人の可処分所得の7%に相当し、94年の1%、00年の3%に比べて大幅に上昇している。借換えや値上がり分を担保にした借り出しというキャッシュ・アウト(現金の捻出)の一般化などを指摘している。

このところそうなのだが、グ議長は住宅市場とそれに寄りかかる個人の消費に神経を尖らせているのだ。

ちなみに日経夕刊は、ハリケーン「米経済への影響一時的」という部分に焦点をしぼり、住宅関連の発言には一切触れていない。明日の朝刊で取り上げるのだろうか。先日もそういうことがあった。

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