亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

まだ上海です(食品に偏る中国の物価上昇)

2007年09月13日 23時13分29秒 | 金市場
国際ニュースで流れていたが8月の中国のCPI(消費者物価指数)が6.5%上昇となった。昨日(2007年9月12日)付けのChina Dailyはこのニュースを一面トップで伝えていた。その見出しが“Pork prices have CPI over a barrel”。ここでも中国での豚肉の値上がりについて何度か書いたので記憶されている方も多かろう。先月のCPIがプラス5.6%になったときも食品価格の上昇が背景にあったが、今回も同じ。細目を見ると豚肉その他肉類49%、食用油34%、卵23.6%の上昇となっている。中国語の通訳をやってくれた現地の人の話でも、卵や肉の値上がりが急だと、こぼしていた。昨日のコメント欄にもあったが、一般市民の、とりわけ所得格差が広がっているので低所得層には長くこの状態が続くとダメージだろうし、不満も高まりそうだ。中銀の抑制目標が3%なので、さすがに当日の上海株総合指数は4.5%も急落したが、昨日は1.15%戻していた。ちょうど昨日午後は、写真の証券取引所の中にいたが、株価の戻りはボードのチャートからも読み取れる。上海の証券取引所自体は、電子取引で証券各社の係員も自社に詰めているのでだだっ広いトレーディングルームは閑散としており、広い以外取り立ててみるべきところもない。聞くと、これだけのスペースは無駄なので来年にも引っ越すとのことだった。その際に、株式以外の取引も同じ建物でやるという、いわゆる「総合取引所」のような構想もあるとのことだった。なお、見学には事前の申請と許可が必要。

同じ今朝のChina Dailyのビジネス欄は、8月の中国のマネーサプライ(M2)が前年同月比で18%の増加となったと伝えていた。先週、人民銀行は(何度目だろう、ほほ毎月上げているんじゃないかな?)預金準備率の引き上げを発表していたが、過剰流動は収まる気配がない。

昨日は上海金取引所でのブリーフィングなどもあったが、前日に金の先物取引開始認可のニュースが流れた直後でもあり、リテールの拡大に対する意欲は強い。

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不思議 (ささやか)
2007-09-14 00:56:35
本日23時TVでサブプライムローンの借り手を取材してました。
あこぎな無免許不動産業者が契約書もろくに読めない移民に、住宅を売りつけている実態。
考えると日本でも消費者の無知につけ込むダマシの事件がよく社会問題になります。
でも、契約者の収入を高く書いてローンを組むなんて手口はスゴイの一言。
アメリカの貸し付け審査って本当にそれで通るのかしら?
不思議な気がしました。
結局誰がワルなんでしょう?

福田氏が総裁選に出馬する模様です。
エコノミストの寄稿拝読しました。
TOCOMのセミナーに行けなかったから、うれしかったです。
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パラダイム・シフト? (いつも拝見しております)
2007-09-14 16:52:21
お疲れさまです。

新興国の需要がすごいようですね。各国株式市場も相当しっかりしていて、どこのマネーだとささやきあっているようです。リクイディティの源泉はやはり各国(特に新興国)外貨準備(ほとんどドル)の運用から来ているようです。一時は中国が最後の買い手になるかと思われたのですが、中東の産油国が石油で稼いだ外貨準備を大幅に運用する見込みらしく市場にドルが溢れているような噂も耳にします。また、外貨準備構成のユーロへの嗜好もドルの流動性を高める結果になり、じゃあいつになったら流動性は止まるんだろうと思ってしまいました。考えつくのは急激で大幅なインフレくらいしか止められないのかなと感じます。もはや、ドルはアメリカの通貨ではなく世界で便利な価値交換の手段となっているようで先進国中を揺るがしているサブプライム問題ですらある国の出来事程度になっている雰囲気が感じられます。もしこれが本当ならFOMCの結果を問わず短期間で上昇局面になる可能性があり、急落と急騰の両極端となる状況を考えなければなりません。ポジションを小さめにとるか?インフレを信じてロングを組むかは人それぞれです。もし本当に世界的インフレになった場合、サブプライムという先進国の問題が新興国の需要によって打ち消されることになるので、経済の軸が先進国から新興国へと移ることになります。わかりやすく言えば、今まではFRBがドルの価値を保っていましたが、これからはドル外貨準備をもつ国の運用ファンドたちがドルの価値を決めることになるかもしれません。来週のFOMC以後の市場の動きをみたいと思います。とりあえず「金」は買いだと思います。この状況は外貨準備のサブプライム化と言ってもいいと思います。何といっても両者ともレバレッジが肝です。しかも外貨準備の監督は各国政府に委ねられ結果的に野放しになりやすい点でサブプライムよりたちが悪いかもしれません。長文すみません。
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ロンドン株急落 (小さな愛犬家)
2007-09-14 20:06:28
 日本時間14日午後8時健在、ロンドンで金融株が急落しています。原因はもちろんサブプライム問題。
 本家の米国は利下げしたがその効果もつかの間、今夜は大きく下げるのではないかしら。
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中国利上げ (いつも拝見しております)
2007-09-14 20:09:52
お疲れさまです。

ちょっとブルめのコメント書けばこれだからなぁ・・・中国も本気で引き締めるとすればちょっと怖い気もするけど週明けの上海見ないとわかりません。しかし、商品全般は踏ん張ってるようです。
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アメリカ人になりたい (小さな愛犬家)
2007-09-14 21:54:32
 あーあ、アメリカ人になりたい。
 予想通り金相場があがっているのに、日本人にとっては為替の円高が邪魔になりほとんど帳消し状態だー。これからも金は上昇し、円もどんどん高くなる。
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偽札 ()
2007-09-15 10:46:25
昔、竹内好は「必要流通量以上に放出される通貨はすべてニセではないのか」と喝破しました。今日、サブプライム問題が一端を垣間見せたように、世界に出回る通貨の量は、天文学的なレヴェルに達しています。(もっともその大半はコンピュータ・マネーですが)この大量にあふれ出たマネーを使って、投機筋は博打を打ち、中央銀行は数十兆円をその尻拭いにいとも容易に注入しています。ニセだと思えば大して気にならないのでしょう。二、三年前、金1kgが150万円だった頃、これで車1台が買えるなら金は高いと思いました。一方膨大に出回る通貨の量と比べると、金は安いと感じました。今日世界的にインフレが進行しているのもむべなるかなと思います。もっとも低賃金で働かされている人がたくさんいるので、今のところこの程度ですんでいるのでしょうが。
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戦時 (ナニユエ)
2007-09-15 12:38:59
サブプライムは 五輪前の静けさのなかのさざなみと思います(チャイナが一番いたんでいるかも)。 
ささやか様 五輪後の不況をチャイナはおとなしく国内問題として物事を処理していく国でしょうか。
五輪まではgoldを保持とされていましたが 私はそのころまでにいかに安く goldやドルを確保するかを考えています。
戦時となれば 通貨は意味をなさず 戦略資源の確保が帰趨を決定します。 石油,gold、食料はドル建てでは下がらないと思います。 この心配が杞憂で終れば本当にうれしいですが。 亀井先生無事に帰ってきてください 自転車で冒険はXですよ
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亀井先生にお聞き致します (ノリック)
2007-09-15 20:28:17
亀井先生から見て、今の中国は、戦後日本の高度経済成長時代に似た雰囲気を、お感じになられますか?



また、調整はあっても、永続的に経済の高度成長を成し遂げる感じは致しますか?





いつかは日本のGDPを抜くとも言われたりしていますが。



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戦時 (ささやか)
2007-09-15 21:22:40
五輪後の不況をチャイナはおとなしく国内問題として物事を処理していく国かと問われるなら、
日米軍事同盟、加えてオーストラリアとの友好関係が破綻しないしない限りチャイナはおとなしく国内問題として物事を処理していかざるを得ない、と思っています。
中華の北方にはロシアがあります。
また何といってもグローバル世界の一員です。
このブログで言うのははばかられますが、私はドルポジション落としてませんの。損しちゃうかもしれませんが…ネ。102円のドル手放すのは今のところ賢い選択と思えないのです。

ゴールドのブログだから戦時について語るのもアリかなと思いますが、これほど自殺者が多いとまずはこの「見えざる内戦」を生きのびませんとね。
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