亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

恐怖のモメンタム相場

2007年11月06日 18時35分49秒 | 金市場
金価格の上昇に弾みがついてきた。利益確定の売りが出ているが、それを新規の資金が吸収する構図になっている。その結果先週末11月2日のNYコメックスの取組(見決済玉の総数)は53万9479枚(1枚=100オンス)と9月以降で21度目となる、過去最高枚数の更新となった。これだけでも、いまの新規参入の程度が分かってもらえるだろう。(以前書いたように)しかもそれらの多くは、コンピュータープログラムによる運用手法を取っている。いわゆる「クオンツ運用」と呼ばれるものだが、元来投資理論自体が似かよっているので、右向け右的な一方通行的注文執行になりがちだ。上向き相場は、「買い(ロング)」で参戦する。それが上げに拍車を掛ける。

内部要因的には、週末を挟んだシティ・グループやメリル・リンチといった、このところのサブプライム問題の常連金融機関がまた話題を提供し、「信用リスク」が盛り上がり「金」が質への逃避の対象になったと解説される。確かにここでドルが多少戻そうが、原油が下げようが、金価格の下げを限定的なものにとどめ、押し目買いを入れさせる材料となっているのは確かだろう。今週はBNPパリバの決算なども予定されている。昨日は現地時間の午前中にミキシンFRB理事が「FRBの金融政策は金融業界のためにあるのではない」と12月の利下げ期待をけん制する発言をおこなったと伝えられている。「金」のみならず株式市場なども金利低下を好感して値を保っているので、どちらかというと悪材料となるが、「景気を重視すれば下げることはある」という読みもできるわけで、いまの市場環境は(とりわけ金の場合)いいとこ取りをしてしまう流れ。流れとしては買い安心感が醸成され、850ドルあるいは875ドルという価格が、暗黙の目標値になりつつあるように見える。一般的にこうした展開の時に反落の芽が育つということになるが、いずれにしても相場は佳境に入ったのではないか。売り方は阿鼻叫喚、買い方は大はしゃぎの恐怖のモメンタム相場。

裏に「デリバティブ・バブルの崩壊」が隠れていれば、サブプライムどころでは済まなくなるゆえ、不気味な「金」の上昇ということ。派手なことになってきた。



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9 コメント

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ヘッジ売り方について (ノリック)
2007-11-07 00:26:30
金鉱会社によるヘッジ売り残は、明らかに含み損だと思いますが、今後とも相場が上がれば、一部の金鉱会社の経営にも危機的な影響があると思いますが、先生から見ていかがですか?



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あら!820ドル (ささやか)
2007-11-07 01:16:49
虹の橋を渡って820ドルまで登った♪
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833ドル (torux)
2007-11-07 12:46:14
KITCOのlive spot chartの罫線が4USD/ozだったのが今は10USD/ozになってますね。。。

金魚鉢は熱気に溢れて、水が水蒸気に相転移中。。。
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場中価格改定出ました・・ (住金鉱)
2007-11-07 14:21:58
前日比+92円高、1g3234円・・もういくところまで一度行きましょう。3500円も近づいてきました。あと300円ほどで2合目の尾根でしょうか?
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マネーという妖怪 ()
2007-11-07 14:51:37
 ファンドの崩壊を予告しているのか、金価格が異様な雰囲気になってきました。最も私の畑仲間は今日ものんびりしたもの、お互い別世界なのですね。実際金が上がろうが下がろうが、普通の人には関係ないことです。これが石油、食料となると話は別、結構話題になります。さて話は変わりますが、今日の市場経済はマネーというものを抜きにしては語れません。「共産党宣言」に倣って言えば、マネーという妖怪が世界を徘徊している、というわけです。個人の金融資産、年金基金、国債や米ドルの乱発などによってあふれ出たマネーが、世界的低金利もあって運用先を求め、それを吸い上げたファンドがさらにレバレッジをきかせて、ここに株、不動産、商品バブルが発生しました。ここで流通しているマネーは、もちろん私たちが働いて得るお金や、物やサービスを買うお金とは、似て非なるものです。この通貨の二重性を、ここではお金とマネーで呼び分けているわけです。今日の世界のバブル、格差、戦争の根底には、おそらくマネーがあるといっていいでしょう。さてお金から見れば、現在の日本の物価水準から見て、金は1グラム2000円程度が妥当でしょう。インフレを見越して2500円ぐらいでしょうか。しかしマネーから見れば3000円、いやファンドの崩壊ということになれば、4000円ということになるかもしれません。しかしその時は金融機関や年金の破綻などが、同時に襲ってくるかもしれません。正気に返って、お金の金として1オンス700ドルぐらいに落ち着くのか、それともやはり行くところまで行ってしまうのか、今後の動向は眼が離せません。
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市況 (ぱろ)
2007-11-07 16:08:08
NY金先再び増加傾向。ETF一服でやや減少。国内価格めずらしく主導?で上昇。そろそろバランスが崩れて一休みでしょうか?まぁいずれにしても上昇波動のブレでしょうか?来年はいよいよ1000ドル、4000円超えでしょうか?もしかして大変な時代が来るのかなぁと、思ったりして少々複雑な心境です。
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ドル崩壊 (fairlane)
2007-11-07 18:18:35
これは来てしまいましたね。
中国要人の意図的な?失言で決定的でしたね。
今夜バーナンキが何を言ってももう止まらないように思われます。
98年の通貨危機と重ねる記事が多いですけど、どうも根本的に違うように自分は思います。

今日先物満玉買いました。
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為替が・・・・ (小さな愛犬家)
2007-11-07 21:40:22
 お疲れ様です。
 本当に市場の予測は難しい。
 このところもみ合い続きだった為替が、大きく円高へ向けて動き出したようです。為替が本当に動くとこんなもんではありませんね。果て、どうなることやら。
 今日、上海株が反発したりして、これも意味深。
 確実に言えることは、サブプライム問題がまた進化して、米国ではドル印刷機がフル回転状態です。
 また、個人的に円高は日本経済への打撃を最小限に食い止めると思うし、為替相場は正直ですねえ。
 金相場(現物)は当然、万歳三唱でしょう。
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狂気? (torux)
2007-11-07 21:56:58
もしかしたらドルショックから今までの、金の裏づけなしのドル機軸体制の方が狂気だったのかもしれませんね。ドルの代わりの世界共通通貨として扱われるのであれば、1000ドルでもまだまだ全然安いというのが正気の世界となるのかも。ただし、歴史を振り返って正気の世界は平和な世界ではなさそうですが。。。
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