亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

FRBもカネの干上がりを警戒、下げないゴールド

2023年04月03日 19時02分52秒 | 金市場

週末と月末さらに四半期末が重なった3月31日のNY金は反落した。

連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視していることから注目された、2月の米個人消費支出(PCE)物価指数(PCEデフレーター)で、食品とエネルギーを除くコア指数が前月比、前年同月比ともに市場予想を下回った。FRBの利上げが長引くとの懸念が和らいだことで、金市場は結果判明後に騰勢を強めた。

NY時間外のアジアの午前、ロンドン時間の早朝に節目の2000ドルを突破したものの利益確定の売りに押し戻されていたが、再び節目を超え一時2005.00ドルまで付けた。ただし、その後売り買い交錯状態となり、結局これがこの日の高値となった。 金融システム不安が落ち着きを取り戻しつつあり、リスクオンセンチメントの回復で株価が上昇する中で、終盤にかけて金市場では利益確定の売りが広がった。

1995ドル前後の取引が続いたあと、終盤は1990ドル割れの取引となった。 先週末の終値は11.50ドル安の1986.20ドル。

週足は2.40ドル、0.12%と5週連続の上昇となった。月足は149.50ドル、8.14%の上昇で20年7月(10.3%)以来の上昇率に。さらに四半期でみて8.76%と2四半期連続の上昇となった。

3月7日の上院議会証言にて、利上げ幅の再拡大も状況によっては考えているとパウエル議長が発言した時点で1820ドルまで売られていた。同じ人物がその5週間前の2月1日に「ディスインフレのプロセスが始まった」と話したときは1975ドルまで駆け上がっていた。同一人物の発言内容で150ドル以上も水準が違うのも、この短期間では珍しい。それほど、足元の状況は流動的といえる。だから、2000ドル近くの水準を維持しているわけだ。

 

2月のPCEデフレーターは前月比0.3%上昇、前年比5.0%上昇で1月(前月比0.6%上昇、前年比5.3%上昇)から減速した。市場予想はそれぞれ0.3%、5.1%となっていた。前年比の伸びは2021年9月以降で最小となった。エネルギー価格が0.4%下落した一方、食料品が0.2%上昇した。一方、コアPCEデフレーターも前月比0.3%上昇、前年比4.6%上昇と伸びが鈍化。1月は前月比0.5%上昇、前年比4.7%上昇だった。予想はそれぞれ0.4%、4.7%上昇となっていた。

いずれにしてもインフレは鈍化してきている、しかし目標の2%には遠いということ。

米ミシガン大学が31日発表した3月の消費者信頼感指数(確報値)では、消費者が予想する1年先のインフレ率は3.6%と速報値(3.8%)から下方修正され、2021年4月以来の低水準になった。この結果もインフレ懸念をやわらげた。

この手の話はFRBが求めているながれといえる。

FRB高官の発言では、 コネティカット州で開かれたイベントで講演したウィリアムズNY連銀総裁の発言が注目された。同総裁は「銀行システムの一部にあるストレスは、信用状況の引き締まりにつながる可能性が高い」とし、ひいては景気を減速させる可能性があると指摘した。一方で、「こうした影響の程度と期間はいまだに不明確だ」とした。物価上昇率は年内に3.25%程度まで鈍るものの、2%目標に近づくまでは2年間かかるとしている。銀行不安の影響については、同じ日ボストン連銀のコリンズ総裁は「少なくとも何らかの」信用引き締めにつながる可能性は高いとして、データを監視することが重要と発言した。

FRB関係者も信用収縮、カネ巡りの悪化を警戒している。米国の不動産関連は要注意といえる。ここにヒビが入ると、崩れるのは早い。

だから、FRBは担保掛目100%で資金を流し込んでいる。

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