亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金静かに2000ドル突破

2023年03月31日 16時37分04秒 | 金市場

3月30日のNY金は反発した。為替市場で終盤に向け対ドルでユーロ高が進んだタイミングで買いが先行する流れが生まれた。主要な経済指標の発表のない中で複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による発言が伝えられ、いずれも金融不安が沈静化する中でインフレ抑制の利上げ継続が示唆された。ただし、やはり銀行問題発生による金融収縮を考慮し、利上げに対するスタンスは以前より後退している。

NYコメックスの通常取引は、前日比13.20ドルの1997.70ドルで終了した。3月23日の終値(1995.90ドル)を抜いて年初来高値更新と同時に22年3月10日以来1年ぶりの高値でもある。

ただし、前日からNYコメックスの基準になる取引(active month、中心限月)が4月物から6月物に移行しており、そのプレミアムによる押し上げ効果も水準上昇につながっている。ただし現実の価格は、そのプレミアムを上回っている。

このタイミングでの水準の切り上がりは、6月物へ移行した(roll over)取引が多かったとみられ、手掛かり材料がない中で、それ自体が上昇要因ともいえるだろう。

先高期待の表れでもある。

30日は通常取引終盤に、2002.40ドルと先週末以来の2000ドル超えも見ている。そして本日31日のアジア時間にも2000ドルを超えている。

目立った材料のない中で2000ドルを挟んだ取引に移行していることは、利益確定売りを挟みながらも、この水準が市場で受け入れられつつあることを表す。つまり何かイベント(手掛かり材料)があって、到達する水準ではなくなっているともいえそうだ。

 

30日は、25日までの1週間の新規失業保険申請件数が発表され、前週から7000件増加し19万8000件と、市場予想(19万6000件)を上回る増加となっていた。しかし、一つの目安の20万件は割れており、米労働市場は引き続きタイトな状況となっていることを示している。SVB前(銀行破綻前)であれば、FRBの利上げ継続を示す手掛かりとされ注目されていたこうした指標だが、市場の関心は落ちている。

こうしたことからも、市場の流れが変わったことがわかる。

本日は、FRBが金融政策を判断する上で重視する米個人消費支出(PCE)の発表が予定されている。食品とエネルギーを除いた2月コアPCE価格指数(デフレーター)の伸びの程度が大事になる。今回前年比4.7%の伸びと、前月と同じ水準が予想されている。しかし、いまやコアPCEデフレーターを、サービスと財(goods)に分けた上で騰落を見て判断するところまでプロはやっている。

勉強しましょう。。

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