亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金融政策、意見が分かれるのもムベナルかな。

2010年01月12日 20時24分11秒 | 金融市場の話題
10日日曜日に書いたように先週のニュースで気になるものがいくつかあった。

まず週末に米地銀と信用組合あわせて2行が破綻した。昨年は合計140行破綻しているが、同じようなペースで破綻が進むと連邦預金保険公社(FDIC)自体も想定し、すでに人員の増加など対応策に着手している。1992年のいわゆるS&L危機(住宅融資の焦げ付きによる貯蓄組合の大量破綻)時には、181行が破綻した。商業用不動産価格の値下がりが続く中で、これから到来する関連ローンの借り換え問題の影響は、どの程度になるのか。表面上はともかく(実質的に)金融機関にやさしい政策を取らざるを得ないFRBは、この面からも早期の利上げは難しい。

この話にも関連するが、先週はFRBから09年11月のクレジットカードなど米個人信用残のデータが発表された。結果は前月比で175億ドルの減少というもので金額ベースで過去最高の減り方。前月比減少は10ヵ月連続となったが、1943年に統計が開始されて以降、最長記録となっている。余ったカネは貸し出しに回らず、国債の購入、はたまたデーィーリングに投じられている。借金してモノを買う時代から、借金できない時代に転じている。

もうひとつ。中国の12月の輸出入が前年同月比で大幅に伸びたというニュース。

まず輸出は1年2ヵ月ぶりにプラスに転じた。ただし通年では貿易黒字額は6年ぶりに縮小となっている。輸入はやはり前年同月比で2ヵ月連続の伸びで12月は55.9%の伸び。といっても昨年の11、12月はリーマンショック後の世界経済全体が凍りついた状態だっただけに、それとの比較という展は割り引く必要がある。それでも「伸び」となったという点に、マーケットは明るさを見出だし、とりわけ商品市場は反応。世界最大の伸び盛り経済国への期待は高い(言うまでもないか)。中国も米国の変調で輸出が減ってしまい、その需要の穴埋めに政府が躍起になっている状態で、このあたりは主要国も新興国も同じ構図。性質が悪いのは、その米国自体が他力本願的に輸出の伸びに期待しているという状況がこれまでになかった事態。国内でも(米国ではなく)これからはアジアを見ようという論調が高まるのは、世界的に皆そう思っているということ。

こう考えてくると、米国でのテロ騒ぎにしても、人の移動が(結果的に)制限される方向に動くということは、こんな状況の折に悪材料といえる。全てがデフレ的様相で、やはり「出口」は遠い。FOMCも意見が分かれるわけダス。

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国際商品に中国ショック (かいじ)
2010-01-13 16:49:23
中国が預金準備率を引き上げたことで金などの国際商品が大幅反落しました。米雇用統計の改善難で低金利がなお続くとして買われた相場が早くも冷水を浴びた格好です。それにしても中国の金融経済の動向が国際商品市況を左右するとは改めて大国としての立場を浮き彫りにしました。これで果たして同国による金の買いが後退するのかどうか、これとは問題が異なるように思われます。今年も中国の動向には目を離せません。



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