亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

自社株買いの季節

2014年11月12日 14時44分18秒 | 金市場
米国での企業の四半期決算の発表も終盤。ここまで発表したS&P500種の構成企業の約80%で利益がアナリスト予想を上回ったとされる。ただし 売上高が市場予想を上回ったのは約60%とのこと。

利益が一株当たりなのか、全体でのことなのかという問題はあるが、売り上げが変わってないにもかかわらず一株当たりの利益は上昇というのは、最近見られる傾向で、背景にあるのは自社株買い。余剰資金で自社株を買取り、バランスシートに化粧を施し(一株当たりの利益は上昇)、結果的に株価を押し上げることが株主還元と同時にCEOなど役員報酬も上昇。

決算発表の終わった、これからが自社株買いが出やすいタイミングとされる。その資金を低金利の環境を生かし、社債発行で調達しているところも多いのも昨今の特徴。
アップルの調達金利(12年ユーロ建て)は、英国、イタリア、スペインなどの長期国債(10年債いずれも2%超)より安い1.67% だったと。


以下、市況です。

「静かに進んだファンドの買い戻しで反発」

11月11日のNY市場の金価格は反発となった。NY時間外のアジアの時間帯に一度は買戻しの動きが見られたものの、ドル高の動きが続いたことから買い一巡後に再び反落状態で1140ドル台中盤まで値を下げることに。ただし、この日の下げはそこまで。その後のロンドンの時間帯からNYの通常取引に入ってからは、ドルがやや弱含んだこともあり買い先行に変わり静かな上昇トレンドが続くことになった。結局、NYコメックスの通常取引は前日比3.20ドル高の1163.00ドルで終了した。その後の時間外取引では1170ドル台に乗せるところまで上昇した。

金市場での買いの主体はNYコメックスでのファンドのショート・カバー(売り建ての買戻し)で、この2週間、ドル高をもたらした(FOMCや日銀サプライズなど)イベントの下で溜まったショートの一部が解消されている。

この日も主な経済指標の発表はなく、米国はベテランンズデー(退役軍人の日)で債券、為替市場は休み。NY株式市場も取引は細り、レンジ相場。終盤は弱含んだものの、それでも取引終了にかけてプラス圏に浮上しNYダウもS&P500種も小幅上昇で取引を終了した。いずれも(小幅ながら)過去最高値を更新している。ちなみにNYダウは今年に入り24回目、S&P500種は40回目の最高値更新となる。

金市場内部の話題では、今年のロシア中銀の金購入量がここまで約115トン程度になっているというものがあった。2012年の75トン、13年の77.5トンを既に上回るもの。もともと外貨準備に占める金の比率を10%まで上げることを目標として掲げているが、今年はそれに加えウクライナ問題での西側の制裁強化でロシア産金の販売が細っていることから、中銀が引き取っているようだ。

つまり金準備増強計画をさらに強めているわけではなさそうだ。しかし、金価格が下げていることから、タイミング計って購入を増やしているというふうにも見える。(亀井幸一郎 2014年11月12日記)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 楽観論が前面に出始めるNY株式 | トップ | インドでの金の引き合いの強さ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事