量的緩和策の終了は比較的混乱なくできても、利上げは難しい、というのが以前からの持論。まして想定外の資産買い取りを行った結果、その総額が4兆5000億ドル(約480兆円)まで膨らみ、放置したまま金利でコントロールせざるを得ない状況ゆえに、市場の過剰反応も警戒する必要がある。行きはよいよい、帰りはこわい・・・の本格的な出口戦略がこれから始まる。
16日のNY市場の話題は、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の経済チーフでFRBの政策に詳しいいわゆるFedウォッチャーのジョン・ヒルゼンラス記者が、今回のFOMCでは市場の予想よりもハト派的な姿勢を示すのではとの見方を示したこと。具体的には、事実上のゼロ金利政策を「considerable time(相当期間)」続けるという方針の変更は、次回10月の会合まで先送りされるとの見方を示したもの。修正を加える可能性についても指摘した。もちろんFOMC参加者の中でも意見が割れている状況ゆえに予想自体が難しいが、定評のあるFedウォッチャーの発言だけに材料となった。
ドル高が一服状態となり、軟調展開で始まったNY株は上昇に転じることになった。16日のNYダウ30種平均は、100.83ドル高の17131.97ドルで終了したが、一時はザラバ(取引時間中)の過去最高値を更新している。
昨夜の生産者物価指数(PPI)に続き、本日は消費者物価指数(CPI)が発表されたが、PPIは前月比横ばい、CPIについては前月比でマイナス0.2%となった。前円同月比では1.7%となる。早い話がインフレは失業率低下の中でも沈静化しており、低金利環境の継続に問題のないことを示している。
どのような声明文と経済見通しになるか。イエレン議長の記者会見での発言内容こそ注目となる。さらには、声明文より3週間後の議事録要旨の方がより重要となりそうだ。いよいよこれから来年前半に掛けてイエレンFRBが市場の評価にさらされる時間帯の到来となる。