4月24日のNY市場の金価格は大荒れの展開。まずNY時間外のロンドンに入り売り先行の流れに変わるも当初は目立った動きはなし。このまま本日も波風なしかと思われた。
ところが取引中盤で投機的な売りが膨らみ100日移動平均線が位置する1280ドルラインを割り込んだところで、ファンドの売りプログラムがヒット(起動)し売りが急増、急落状態となった。そしてそのままNY市場の通常取引に引き継がれ通常取引開始時に1268.50ドルまで下げ2ヵ月半ぶりの安値を記録することになった。テクニカル上の市場の弱みを突いた売り方の攻撃があり、それが功を奏することになったわけだ。
ところが状況は事態はその後に再び急変することになる。
NYの通常取引が開始されこの日注目の前週の失業保険申請件数と3月の耐久消費財受注が発表され、中でも失業保険申請件数が前週比2万4000件の増加となり市場予想の31万2000件を超え2週連続で増加していたことを受け、金市場は買戻しの動きが出てゆっくりと値を戻す流れに。そこまで来たときに伝えられたのが、ウクライナ情勢の緊迫化のニュースだった。
知られるようにウクライナ東部の主要都市で親ロシア派武装住民の行政庁舎占拠が続いているが、これに対しウクライナ治安部隊が制圧に乗り出し、親ロシア派側に死者が出たと伝えられた。それに対抗するようにロシアはウクライナ東部国境に集結していたロシア軍が軍事演習を開始したと発表。一気に緊張が高まり金市場では買い注文が集中した。
ロンドンの後半からNYの早朝に見られた動きとは逆にファンドのプログラムがヒットし買いが集中することになった。急落時に節目となった1280ドルを今度は上切ると10分ほどで2万ロット(重量換算約62トン)の出来高を伴い一気に20ドル近く急騰し1299ドルまで上昇することになった。この時点で早朝の安値からは30ドル超の切り替えしということになった。その後は1290ドル近辺での値動きに移行し、そのまま水準を維持して取引を終了した。
終わってみればNYコメックスの通常取引は1290.60ドルの6ドル高。しかし上下に大きく振れた1日となった。下にも上にも、アルゴリズムに基づくファンドのプログラムによる独り相撲がもたらした乱高下だった。ただし当座は底割れは回避されることになった。