亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ソブリン・リスクと公的購入

2009年12月16日 22時55分58秒 | 金市場
ギリシャの格下げに端を発し、さらにスペイン、ポルトガルへの懸念もありユーロ圏でにわかに高まったソブリン・リスクへの関心。考えてみればギリシャ国債のトリプルBプラスはジャンク債まであと3ノッチ(段階)残すのみ。ギリシャなどユーロ参加時に遡り粉飾を疑う声もある。以前と違って自国通貨安という刺激策も取れず、緊縮財政を強いられ、ますますデフレ色が高まることに。そうこうしていると、14日にオーストリアが経営の悪化していた同国6位の銀行ヒポ・グループ・アルペ・アドリアの国有化を発表ときた。もともと東欧圏にからみ不安視されてきた。ウォール・ストリート・ジャーナルが債券トレーダーが問題国をポルトガル(Portugal,)、アイルランド(Ireland)、イタリア(Italy)、ギリシャ(Greece)、スペイン(Spain)のそれぞれの頭文字をとってPIIGSと呼んでいると取り上げていた。低成長見通しの下で、財政赤字はさらに、そして早く拡大するだろうと。こうした中で、昨夜のユーロはかろうじて1.45ドルをキープした。いまのところギリギリのところで踏みとどまったというイメージである。

さて、こうしたソブリンリスクの上昇は金市場にとってどのような影響を及ぼすのか。おそらく公的部門の買いを促す材料になると見られる。ヘッジファンドと異なり中央銀行は政府への納付金はあるものの、言うまでもなく一般的に運用益の拡大を目指しているわけではない。むしろリスクを取りたがらないのが一般的(まぁ、今のFEDを見るとそうとも言いきれないが・・)。つまりまさにSafe-heaven的な要素を金に求めるのではないかと思う。

各国ともにデフレ化を避けるためにも積極財政に乗り出す必要があり、そのようにした。財政赤字は必然的に膨らむ。しかし、おそらくその支出に見合った成長率は得られないのではないか。それほど2008年の断層のような金融経済的ショック状態は症状が重いと見られる。

結局、財政赤字はさらに膨らみ、ソブリン・リスクはいずれ「通貨のリスク」に転嫁される可能性がある。こうした事態に至るには、まだ時間的余裕はあるがヘッジを考える行動は先にやってくる・・・・否、既にやってきてる。年が明けて、IMF売却予定の金のさらなる買い手の登場となるのではないかと思う。そうなると一時にせよユーロの縛り(ドルの縛り?)も解けよう。



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4 コメント

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Unknown (kenji)
2009-12-17 08:37:55
たぶん、ドルも金も底を打ったと私は思う。
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Unknown (ささやか)
2009-12-17 14:15:11
そうかもしれない。
後にならないとわからない事ですが…
返信する
そうですね (kenji)
2009-12-17 21:15:51
>後にならないとわからない事ですが…

分からないですね。

人々が金を買えると言う値段があり、それはお金をもている人の額によるでしょう。
 1g4000円ではわが国は多分無理でしょう。
 従がって、円相場が下落する時に上昇しますが、そのときは金価格も下落でしょう。
 このふたつがおきるとき、国内金価格は上昇する。然しそのときにはわが国国内で買える人はすくない。
 残るのは金の価格は、経済構造が変化する時、上昇するという事でしょう。
 国内でも経済が落ち込めば、金を既に買っている人は売りますから、下落要因です。
 それは金融危機を推し進めますから、金価格の上昇要因です。
 何がいいたいかというと、金価格を上昇させる要因が時間の変化とともに下落させる要因だという事です。逆もあると言うことです。
 これへの判断がどうにもできない。
グラフを見ていると、これという理由はなく底を打った感じがします。
 

ヨーロッパの金融危機が何処まで、すすむかでしょう。
 その間ドバイのような国が、個人が金を持っていれば売らざるを得ない。

 また日銀が大量に資金を供給しましたから、これがどのような方向へ行くかでしょう。
 円安要因です。

大きな問題は中央銀行と紙幣と為替とは何かでしょう。
 
 あとにならないと分からない。
然し面白いですよ
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今日も少し買ってみました。 (ぱろ)
2009-12-18 13:18:12
やはり分散買いの方が落着きます。
100gのバーは手数料がかかりますがなんとも心地良い重さです。
質屋の前に10万円金貨、102000円で売ってましたのでこれも買ってもました。
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