昨日、イタリア債とスペイン債の下落(利回り上昇)を取り上げたが、連休明けの欧米市場でその動きに拍車が掛っている。政情不安がもともと財政基盤の弱いイタリア債を直撃し、値動きを大きくしている背景には、欧州中銀(ECB)の量的緩和策、つまり国債買取り策が終盤を迎えているタイミングであることもあるだろう。財政基盤の弱さはスペインも同じで、そもそも10年債が1.5%以下まで買われていたのは、世界的なカネ余りを背景にしたイールド・シーキング(利回り探し)の動きに支えられてのものだった。
それにしてもイタリア10年債が一気に3%を突破というのは、バブルの崩壊を思わせ、ハイイールド債などへの影響も懸念される事態といえる。逆にドイツ債や米国債に買いが殺到しているのは、リスクオフということもあるが、そもそも先週まで債券市場でファンドがショートを積み増していた、その巻き戻しが急激に起き、流れを加速させているように見える。
こうなるとユーロが売られ、その裏側でドル高が見られても、リスクオフのセンチメントが勝り金はサポートされる。ドル高との綱引き相場に。
一昨年2016年のフランス大統領選前に、極右政党「国民戦線」のルペン党首の支持率が上がった際に、フランスで反EU政権誕生を懸念する動きに、不確実性の高まりの中、金が買われた環境に似ている。否、それよりもリスク度は高い。