日本時間の午後遅めから夕刻にかけてロンドンのオープニング。大陸欧州の取引は先行して始まっているが、債券市場のボラが上がっている(値動きが激しくなっている)ので、目が離せなくなった。昨日のイタリア2年債など、前日比で利回りが2倍以上になったのは驚きだった。ドイツ・イタリア10年債の金利差は一時3%超に。イタリア、スペイン債の値下がりが目立つ。
今月ここに書いたが、国内地銀の中にイタリア国債を買っているところも多いとみられるが、大丈夫だろうか。評価損ではなく、実損を出したところもあるのではなかろうか。日経が先々週報じたところでは、上場地銀80行・グループの2018年3月期決算は、6割の48行・グループが最終減益としていた。最終赤字に転落したところも1行あった。2019年3月期の予想も53行が減益を見込んでいるとされる。日銀のマイナス金利導入で本業の儲けが出しにくくなり、「その他業務純益」に分類される外債投資を拡大させ“利回り探し”を活発化していた。 外債運用のメインは米国債と見られるが、それも値下がり(利回り上昇)していた。ちなみに赤字に転落した1行は、含み損を抱えていた運用商品の見切り売りで損失を計上、通期の純益が吹き飛んだとされる。
さて、早ければ7月29日に再選挙の可能性が報じられたイタリアだが、さすがに国債の暴落に危機感を抱いたようで、大統領が組閣に向け再協議を要請し、「五つ星運動」「同盟」ともにこれを受け再び動いているとの話がある。どう転ぶか不明なれど、一応ユーロドルは昨年7月18日以来の安値から反発中。NY金は、“リスクオフの買い”と“ドル高による売り” の綱引き状態で1300ドルを挟んでホバリング中。
市場の目が欧州に向けられているうちに、しばし停戦状態と見られていた米中貿易戦争が燻りはじめている。ホワイトハウスが、中国からの輸入品への関税対象品最終リストを6月15日までに発表すると発表。これに対し、直近の合意内容に反すると中国商務省が反発している。展開次第では、株式市場の逆風が強くなる気配。