亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

カネ余りのなかの微妙な均衡

2010年06月11日 14時00分29秒 | 金市場
昨夜とりあげた中国の貿易収支の結果は予想以上に好感されたということか。今朝のNY株市況を伝える報道はこぞってこの話が盛り込まれていた。後はECBが2010年の成長見通しを3月時点の0.4~1.2%から0.7~1.3%に上方修正したこと。また理事会後の記者会見でトリシェ総裁が、5月に始めたギリシャなどの国債買い取りと市場への資金供給を継続する意向を示したことが、市場に安心感を与えた。買い取りに関しては、この段階で一定の効果を発揮したので止めるなどと発言すると暴落となるので、仮にそうであっても続けると言わざるを得ないという類の政策でもある。要は、一見して安定しているようで、内実は各種サポートの微妙なバランスの上での均衡ゆえに、たくさんある変数のひとつがズレるだけでグラグラしてしまうイメージだ。つまりNY株の200ドル以上の上昇も安心材料というわけではない。

欧州発のソブリン・リスクへの懸念と各金融当局の危機対応(超緩和基調)という金融市場の環境は、1ヵ月前と何も変っていない。変っているのは、事態は進行中ゆえにそれぞれの局面での各国、各市場の反応が次の展開へと波及していく過程で、問題が表面化する国や分野が異なるという点である。

基本的には「カネ余り」の環境ゆえに、市場心理に落ち着きが見えると株は買われ、商品市場では原油やプラチナのようなもっぱら産業需要を材料に動向が決まる銘柄が物色され、一方で金価格は頭を抑えられレンジ相場に入るという流れとなる。この間の金市場は、いわゆる内部要因主導でIMF(国際通貨基金)の売却経過など公的部門の動向やETF(上場投信)に表れる投資家動向を見ながらの展開となる。

ただし、傷んだ金融システムや膨らんだ財政赤字問題は、足元の緩慢な景気回復(=経済成長)の下では思ったほどの改善が見られず、むしろ折にふれ問題が表面化することから、その度に株が急落したり為替変動が大きくなったりということを繰り返すだろう。金市場からの視点という面では、その“揺れ”ごとに金価格はレンジを切り上げていくと見ている。


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統合失調症的なマーケット関係者の発言? (パリーグファン)
2010-06-11 15:27:49
1 なかなか凡人足る者(勿論私は凡人もいいところです)・・己の利害から離れて政治、行政、経済政策などは論じられないのかも知れない?

2 特に株式関係者などは酷いものだと思う。
暇になってからは特段の用事がなければPCと経済専門チャンネルはつけっ放しのことが多い。

@1 日本の財政赤字はもうすぐGDPの2倍近くになる。出鱈目なばら撒きを即止めないと日本が破綻しかねない。

@2 欧州にもソブリンリスクが飛び火した今日本は更に強力な財政政策(国にもっとオカネを出せということだ)で経済を支援しないと日本経済はいつまでたっても回復しない。

@3  @1と@2は矛盾しない。両立させるのが政治だ。「強い経済、強い財政、強い社会福祉」は管新総理も推進すると断言していることだ・・・?

こうしてマクロ的に見てみると日本経済はまさに断末魔の様相だと思う?誰がやっても駄目だろう?

少子化、労働力不足の解決ひとつとっても「若年層のフリーセックスの推進、多夫多妻制の容認、移民の本格的受入れ・・」などの主張を自らの地位向上の絶好の機会ととらえる過激論者が跋扈しかねない日がまもなく来るという危惧だけが日増しに募る一方だ?
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徐々にメッキが剥がれ出した? (パリーグファン)
2010-06-11 22:07:23
5月の米小売売上高は‐1.2%、自動車を除く売上高‐1.1%=商務省

ミシガン大学信頼感指数は良いだろう?
もし、それも悪ければ・・・?
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本日の朝刊より (日経ファン)
2010-06-12 11:12:20
ヘッジファンドの運用苦戦

低金利のドルや円を売り、幅広い分野で投資していた、ヘッジファンドが 欧州不安の株安を受けて、運用成績がマイナスに。
リスク回避の高まりで、持ち高の解消に追われている。との記事。

確か以前、誰かが、金投資に対するヘッジファンドの割合のグラフを投稿してくれていたと思うのですが、かなりのウエイトだったのを記憶しています。
株式下落の際には、注意が必要かもですね。



反対に好材料も、

三菱UFJ信託銀行が、7月にも貴金属ETFを4種、東証から上場させるとの記事。
これは、現物との交換が可能で、グラムでの取引だそうです。
三菱UFJが、鉱山会社や商事会社などから、直接、貴金属を購入しての現物の裏付けがある商品で、国内では初めてです。
今までのETFとは、違って安心感がありますよね。
これを機会に、日本人が金を購入すれば、又バブルを引き起こすかもしれませんね。


どちらに傾くか、来週以降楽しみにしています。
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交流戦の順位が本当の実力? (パリーグファン)
2010-06-12 22:48:43
今日12日の試合を終わって1位オリックスから6位日本ハムまではすべてパリーグ。
セのペナント1位の巨人はパのペナント最下位の日本ハムより弱く7位。セリーグは7位から12位と全球団がパリーグより下位のテイタラク。
巨人は明日もソフトバンクのスーパーエース杉内を打てないだろうな?

セの熱狂的ファンから
「いい加減にしろ!黙れ!」とお叱りを受けそうですね?
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