本日発表の米週間ベースの失業保険申請件数。先週が速報値で30万件を割れる29万2000件となり2007年5月以来の30万件割れでサプライズとなったが、2つの州のコンピューターシステムが改良工事でデータ漏れが指摘されていた。その面での注目された今週は、30万9000件で市場予想の34万件を下回った。さらにイレギュラーとされた先週のデータも29万4000件となり、イレギュラーな数字ではなかったことが判明したことで、30万9000件の評価も高まることに。雇用市場の改善を示すもの。
さてFOMCは連邦債務上限引き上げを代表例に緊縮財政につながる案件にはバーナンキ議長の警戒感も強いことから、こうしたことを考慮した判断では、Taperingの見送りもあるかも・・としたが、図らずもそうなった。金市場では思惑外れというか、ショートの前提の外れた売り方のファンドが買い戻しに殺到し、いわゆる“踏み上げ”となった。
FOMCについては声明文よりもやはりバーナンキ議長の発言内容が興味深かった。今回のFOMCは経済見通しを示したが(次回は12月)GDP成長率の見通しが下方修正された。記者会見では「我々は成長に関して過度に楽観的だった」としたのが印象的だった。このところの失業率の低下にしても、ベビーブーマーの退職や他の世代でも職探しを諦める人が増えた結果の低下、すなわち労働参加率の低下による改善という側面が強いとし、今後は(失業率だけでなく雇用増かなど)労働市場を包括的に判断したいとした。なるほどもっともなのだが、ならば2012年12月以降量的緩和策の縮小や終了の判断基準に示していた失業率は今後判断のモノサシから外すのか?ということになる。
面白いのは、今回Tapering着手を読む向きが多く、むしろその期待に背くことが市場の不安定につながるのではと思わせるような雰囲気があったと思うが、「市場は政策行動を指示できない」と一蹴した。市場センチメントなどに、おもねてられるか!!ということ。
連邦債務上限引き上げ問題についての与野党の政治的駆け引きについては、「政府の行動により経済が減速すれば、そのことを考慮しなければならない」としていた。既に歳出カットにより成長率は抑えられているとの判断があるようだ。
さてFOMCを通った今、もう一つのイベント連邦財政問題が登場する。オバマケアを槍玉に挙げる共和党。