NY金は前日よりやや値幅が広がったものの、4日もレンジ相場が続き通常取引は2676.20ドルで終了。続伸した。
この日は11月のISM非製造業景況指数など相応に注目度の高い経済指標が発表されたものの、結果は総じていまいちというものだった(そう悪いわけではないが)。ただし、それがむしろ再来週に迫る米連邦公開市場委員会(FRB)にて0.25%利下げを固めるとの見方で金市場や株式市場では好感された。
一方で、この日注目のNYタイムズ紙主催のイベントに登壇したパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の発言は、米経済に強い自信を示し今後の利下げには慎重になる可能性があるというものだった。予想以上に景気がいいから、利下げを急ぐ必要なく余裕をもって状況を見極めることができるという内容。ならば今月の利下げはどうかと言うと、市場では既定路線であり問題なく実行されるだろうとの解釈に落ち着いた。
まさにソフトランディングを思わせる印象で、急ぐことはないということは、株式市場などは、むしろ米経済の強さにお墨付きを与えたものとの受け止め方がされ主要3株式指数は軒並み過去最高値の更新を続けた。
昨日の当欄にてトランプ次期米大統領が自身のSNSにてブラジルや中国、ロシアなど有力新興国からなる「BRICS」に対して共通通貨の創設など「脱ドル」の動きに対し制裁を加えることを表明。要求に従わなければ、高関税を課すとしたことを取り上げた。
その際に「BRICS」を中核とする新興国といえば、ドル(米国債)から金(ゴールド)への移行が話題だが、それゆえ米国の警告は新興国中銀の金購入に水を差すものとの指摘が出るとみられるものの、引き続き新興国のゴールド購入は続くとみられると書いた。
当の発言に対する実際の反応の有無は足元では確認できないが、10月の新興国中央銀行による金購入量はネットで総量60トンと年初来で最大になっていたことが判明した。
4日金の国際的調査研究機関ワールドゴールドカウンシル(WGC)が発表した10月のデータでは、インドの27トン、トルコ17トン、ポーランド8トンなど最高値圏にもかかわらず買いが続いたことが示された。
年初来でインドは77トンと前年同期比で5倍の規模となっている。トルコは10月まで17カ月連続の増加で年初来では72トン増に。ポーランドは同7カ月連続増で年初来69トン増となっている。10月30日に発表された9月末までの24年データでは、累計694トンとなっていた。
11月以降の値下がり局面で買いが継続されている可能性がありそうだ。
NY金の当面の下値を2600ドル割れに置いているのだが、中銀の買いが想定以上に入っているとするなら下値は浅いかもしれぬが、材料次第では振れ幅が拡大する可能性があるので様子見。
ちなみに明朝9時35分頃からラジオNIKKEI「マーケットプレス」に電話ライブ出演。スマホあるいはPCにてradikoにて聞いてもらえます。